政変は水かけ祭りの彼方へ

夫が経営するタイ・レストランにかけてあるカレンダーはタイ製だ。座ると自然に視野に入ってしまうカウンター席のお客さんの目が、一瞬そこに釘づけになるのを感じることがよくある。そのまま黙って視線をそらす人もいるし、なじみのない祝日について尋ねる人もいる。4月の赤字の日は13日から15日。タイでは最も重要な行事ともいえるソンクラーン=水かけ祭りで、とりわけ真正タイ人(中国系の対)にとっては伝統的なお正月。帰省して家族と共に過ごす人が、他の機会の時よりずっと多い。それとこの時期は1年中で最も暑く、気温は40度を超える日もある。美味しいマンゴーの露天が一番多い時期でもある。

私は、空気の抵抗感みたいなものを感じなくなる体温並の気温、36度くらいが好きだ。それも夕方の36度。とびきり辛いタイ料理とビールがあって、この気温。思考力ますます低下で、嫌な事があっても、まあいいか、こんな美味しいものがあるんだし、で思考停止。セカセカよりダラダラが似合う。周囲のタイ人達に「仕事やだなあ」と言えば即「じゃあ、やめればいい」だし、好奇心でいろいろ追求しようと思うと「ヤー・キット・マーク(考えすぎるな)」が口グセである。楽しくないことは美徳ではないようだ。カレンダーを見てそんな思い出にひたった後に英字新聞を見ていたらソンクラーンの写真が大きく掲載されていて、こういう趣旨のことが書いてあった。つい先日まで首相退陣を求めるデモで大騒ぎだったタイだが、ソンクラーン祭りがきたらまるで政変など何事もなかったように人々は水の掛け合いに興じている…。タイに関する報道というのは、どこかとぼけた味付けをなされるものが多いように感じる。そういえば、バンコク在住時に女性専用のバスを導入するかどうかという案が持ち上がった時も「女性が差別されているわけでもないこの国で…」というような枕詞付だった。現金収入が低くても食糧自給はできる、地震を始めとする天災が少ないなどの幸運が、工業化の進展や貿易自由化や環境悪化でチャラにされず、おとぼけ報道にも怒らなくていい状況でいられることを願う。
by kienlen | 2006-04-17 17:12 | タイの事と料理 | Comments(0)

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