『なぜうつ病の人が増えたのか』

幻冬舎ルネッサンス新書。冨高振一郎さんというお医者さんの著。アマゾンで中身を見ずに注文したものだが、これはこれはひじょうに面白かった。というのは、自分が知りたかったことがズバリ書いてあったから。それがまさにタイトル通り。上手、というのも変だが、書き方が巧みで、この間の精神科は今日もやりたい放題だって、こういう書き方したら説得力あるのに、と思うが、まあ、そもそも方針が違うんだしターゲットも違うんだろうけど、何かちょっと残念な感じが残るからだけ。で、こちらの本は冷静に、どうしてうつ病が増えたかを提示しているもの。冷静というのは、つまりデータを使い、それとイデオロギーを入れずに、いわゆる科学的にという意味で。

ここで指摘しているのは新薬の開発と製薬会社によるものすごく大掛かりで巧妙な宣伝がうつ病増加の要因であるということ。もっともこれはとっても簡単に分かることだそうだ。というのは他の国々で、日本以前に全く同じ様相を呈していたから。拍子抜けする簡単さ。うつ病患者のグラフを見ると、実に見事に、どの国でも同じに、新薬販売からすごい勢いで急増している。で、どういう方法で製薬会社がマーケティングを行うかが歯切れ良く述べられている。それとやはりこの著者も()に入れて控え目に、どうして日本のメディアは報道しないのだろうか、と単純な疑問のようにして書いていることだが、薬の有効性について欧米ではジャーナリズムが取り上げたりして議論があるというのに、そういった報道が日本ではないということを指摘している。まともだと感じるものを読むにつけ、日本語だけで情報摂取していることの恐ろしさを感じざるを得ない。ひじょうに良い本だった。文章も婉曲ではあるが筋が通ってピリリと読みやすい。単行本が売れて新書にしたのだそうだ。専門家向けに書く予定だったのを編集サイドの意向で一般向けにしたとのこと。ありがたい。
Commented by jun at 2012-10-20 09:27 x
いい本を紹介していただき有難いです。そうだっのですね。言われて見ればそんな感じはしますね。
ところで読書会も構想だけでお恥ずかしい。
うちの向かいに精神科閉鎖病棟もあり、うつの方もお客さんに多いです。東京裁判のA級戦犯の精神鑑定をした精神科医の息子さんも近くに開業しているし。
当然その因果関係って自殺の増加にも関係無くはないってことですよね。
また、話は変わりますがWindows8の発売で前の機種が暴落しているので買おうかと思っています。新しい東芝のdynabookがブルーレイ付で¥49,800で今日のチラシにありました。安!
Commented by kienlen at 2012-10-21 18:22
自殺と薬の因果関係はここでは分かってなかったように思います。この本は薬が良くないという立場で書かれてものではないです。とっても慎重な議論。興味あれば一読をお勧めします。
by kienlen | 2012-10-20 08:37 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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