『木漏れ日に泳ぐ魚』

この間のタイ人作家の短編集を読みながら、妙に恩田陸を思い出した。それで図書館に行ったついでに目に入ったのを借りてきた。それがこちら。ううむ、さすがっていうか、独特のものがある。娘が大好きな作家でもあり、ふたりで「ちょっと他にないよね」みたいな話をする。というほど、他を知ってるわけじゃないけど。全く退屈することがなく読み飛ばす部分もなく、一行一行の濃度が高い。無駄がないけど、遊びがないというわけじゃなく、全部遊びといえば遊びだけど、生きるって結局こうよね、みたいな、そのあたりの切り取っている層の部分に違和感がないというか。表層的なところでの物語りを作りにくい世の中であるように思うけど、結局文学って、表面の皮を何枚かはいだところを描くから普遍性があるのだと思うが、そのはぎ方に共感できるかどうかで好きだったりピンとこなかったりするんだろうな。そういうことが分かりやすい小説というか。ある種のテキストみたいにも感じるのが不思議。

この物語は、ピースピースは、こういう話ってありそうみたいに感じるようなところがあったが、全体のトーンは独特ということなんだろう。自分の場合、横に複雑に広がる物語というのは結構読解力がついていかない。その意識はある。よって、そういうものだと、分かったような分からないような、でもまあいいやで進むわけで見切り発車と思い込みの危険運転をイメージしちゃったりするが、恩田陸だと、歩調がしっくりくる感じがある。それが心地良い。それと、うるさくないのがいいな。図書館には2冊置いてあったから回転率がすごくいいんだろう。それと海堂尊の本も借りたのだが、こちらも2冊あって、もう思い込みで上下かと思って2冊カウンターに持参したら「同じもの2冊ですが?」と言われた。次はこれか、それとも娘が読み終えた横山秀夫か。今日も活字依存者的失敗。外出時に持参する本に気を奪われて、ランチとコーヒーを用意しながら持参するのを忘れて出てしまった。空腹で帰宅した。この程度で済んでいるうちはいいが…。
by kienlen | 2012-09-30 15:18 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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