「終の信託」

しばらく前になるが、「それでもボクはやってない」がすごく良かった周防監督の新作を試写会で見た。患者役の役所広司が、草刈民代演じる美人エリート女医さんから診察される時の何ともいえない表情といい、顔で演じる場面が全体に多くて、皆さんとても良かった。この映画の後で「ル・アーヴルの靴磨き」を見てしまったため印象が薄れた感はあるけど、とてもいい映画だと思った。深く感動した。テーマがはっきりしていて分かりやすい内容。患者さんに相当感情移入しているお医者さんが、患者の気持ちになって行った行為の是非が問われるというもの。かなり長く展開も比較的ゆっくり目だけど、間延びしてないし飽きることは全くない。どの人の気持ちも分かるな、と感じられる。

私が特に印象的だったのは、患者の家族、つまり妻と子供達。自分で決断したという責任に欠しく、ああ、あり得るなこれっていう感じがすごく伝わってくる。それがどういうことになるのかという自覚もないままな無責任さでもあるが、まあ無理もないよなって思わせる程度のちょうどいいところ。前半までとうって変わっての展開という感じの最後の場面もとても良かった。コイツ、何だよ、と思うけど、最後の最後の表情がとっても微妙。ああ、ありそう、どれもこれも。日常に潜む落とし穴というか、でもあくまでまっすぐ、闘うのでもなくまっすぐに歩むという態度を通すのも潔くていいなと思うが、それが通じるというわけもない理不尽さもリアル。映画の醍醐味を感じる作品だった。良かった。
by kienlen | 2012-09-26 20:55 | 映画類 | Comments(0)

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