『ふしぎなキリスト教』

新書だけど結構長いし、内容的に簡単でもないので結構時間かかった。あって欲しいがなかった本らしい、ということは、あとがきにも書いてある。それで作ってみました、ということらしい。つまり、近代社会の根底にあるのはキリスト教の価値観なのだが、日本ではそこがどうもあんまり意識されていないようだ。それは良くないのだが、かといってキリスト教入門みたいな本だと、何か上から目線だし、面白くもないし、だったらこういうのはどうですか、ということで、橋爪大三郎と大澤真幸という社会学の大御所ふたりがキリスト教について延々と解説したもの。大澤真幸が橋爪先生に教えを請うみたいな形に一応なっているが、この教えていただく側の知識が半端じゃなくて、それに輪をかける先生役が橋爪先生で、ということになるので、その設定自体が面白く、内容はさらに面白い。これ、前に1度挫折したのはなぜだ、と今回読んでみてから思った。

それぞれの著者の著作は読んだことあるけど、自分にはかなり難解で、どうもスッとこない。スッとくるために論じているんじゃないことは分かるし、別に結論が欲しいとか安易に分かりたいってのとも違うが、それにしてももうちょっとスッキリしてほしい感があった。で、これだと、そのスッキリ感を得られる。初心者向け。必読書の聖書さえ読んだことがない人も切り捨てず、その都度その都度、解説してくれている。ひじょうに親切。それに議論が単純でなく、ぐいぐいと絞り切りながらやっと目的地に達するみたいなひねり方がすごい。太い帯に、有名どころが絶賛しているコメントがあるが、そのひとつが、我が意を得たりの感じ。「一年間宗教学概論を聴くよりもこの一冊だ。中国にも韓国にもキリスト教は浸透しているが、日本人だけがキリスト教になじめないわけもわかります」。確かに、キリスト教の中に入り込むだけじゃなくて、入ったりグッと引いたりで、日本人の信仰が何をもたらしているのかのあたりもひじょうに面白かった。日本人は意志的ってのも、ほう、こういうことか、みたいな。楽しく読めてためになるお勉強スタイルの本。
by kienlen | 2012-08-27 08:21 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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