「ルート・アイリッシュ」

映画監督で名前を知っている人はひじょうに少ない。役者さん達もほんの少ししか知らないし、ただ自分が面白いかどうかということでしか映画を見てない中で、ケン・ローチという監督は簡単な名前というのもあるのかもしれないけど「麦の穂をゆらす風」を初めて見た時の印象が強烈で、この監督だと見たいと感じ、そのため遠方まで足を運んだこともある。今回もこの監督だったから、というのが観に行った一番の理由で、しかもここでの公開初日。昨日の土曜日。土曜日に映画に行くことはほとんどないので、平日より混んでいるのかなと期待したらとんでもない、自分含めてふたりだった。なんと寂しいことなんだろう。5-6人は欲しいよなと感じた。予告編と監督から想像するに、逃げ場がない類の映画だろうなという覚悟はしていた。で、その通りだった。イラク戦争への批判が中心なのかと思っていたが、さすがに、というか、それはもちろんあるけど、最終的には人間の物語というか。それだけで見ることもできるなという気がした。この監督さんで自分が見たのは麦の穂と、明日へのチケットと移民を扱った自由な世界へ、だったか、それだけ。エリックはこっちでも公開されて行きたかったけど身損ねたな。

状況的に生死のギリギリの設定で、そこに出てくるギリギリの人間性というかが共通しているように感じられる。だから逃げ場がない感じで思わず涙がこぼれてしまう場面が、何にという具体的な説明以前に何度もある。やるせない、ということだろうか。今回のはさらにサスペンス仕立てになっているので気を緩める瞬間がない。イギリスの階級社会とか、多少でもイギリスの状況を知っているともっと深読みができるのだろうなあと感じた。というのは、言葉使いがもう、ものすごくて、ある階級の人ってこんなしゃべり方するんですか。行ったことがないからなあ、残念だ。主人公がいかにも労働者階級の人って雰囲気が出ていながら、優秀な軍人だったという微妙なプライドと、兄貴分としての貫禄というか、学はないのにまさに生きる力はありますみたいな、複雑な役柄にぴったりですごく良かった。最初からイラクで死亡したという設定の、リアルな人物として登場はしないが、彼を中心に物語が展開するという意味では主人公みたいな男性の妻役の人はとても美人で育ちもそこそこな雰囲気で何者ですか、という感じはあったけど、でもそれぞれの人物の背景説明なんかしている余裕のないテンポで、そんなのはどうでもいいや、なのだった。あくまで直球、小細工なしなところが私は良かったな。私は好きですが、人によって好みは分かれるような気もする。スクリーンが小さくて残念だった。もっと大きいので見たかったです。いつもひとりで行くことに不満はないけど、この映画、男友達がいたら一緒に見たいもんだと感じた。そういう意味ではエンターテイメント性もかなりってことかな。
Commented by jun at 2012-08-22 21:05 x
私は「ルート・アイリッシュ」と「ラム・ダイアリー」とを迷って、日曜に後者を観ました。ニヤミス、でもないか。こちらも数人。でもよかった。半世紀程前のプエルトリコでのあるジャーナリストのお話。ジョニー・デップ、アンバー・ハード主演。
それにしてもkienlenさんの長時間移動はすごいですね。
私には、うなされそうなロードムービーの様ですが、でも生きてるって感じでいいですね。
Commented by kienlen at 2012-08-22 21:54
ラム・ダイアリーは必見リストに入ってますし、時間もあるので必ず行きますよ。予告見て面白そうと思いました。ルートアイリッシュもお勧めだなあ。長時間移動は、うん、結局好きってことでしょう、嫌じゃないのですから。ただ夜中にひとりで走る時は場所によっては結構怖いですけど。
by kienlen | 2012-08-19 08:56 | 映画類 | Comments(2)

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