アウンサンスーチー『自由-自ら綴った祖国愛の記録』

ビルマのシャン州がオリジンの友人がいた。今もいるけど。それがアウンサンスーチーさんにそっくりで、この本の表紙の写真を見てますます似ているよなあと感じる。1991年に単行本として発行されていたものが文庫になっていて、娘と書店に行った時に彼女に勧められて購入。この情勢だからタイムリーなんだろうけど、映画化されているということで文庫版の帯にその宣伝があるのだが、そのスーチーさん役らしき女性の横顔が、ちょっとなあ、ひじょうに興ざめな写真。映画は見てみたいけど、こういう写真があると見たくなくなるくらいに好みではない。ま、勝手なイメージですけど。それで本の方。エッセイや論文や演説などをいくつも収めたボリュームのあるもの。よって、興味がでたら読めばいいやと思って飛ばした項目もある。私が最も興味深かったのは「植民地統治下のビルマとインドの知的活動」という章だった。比較というものの危険性にまず触れた上で、インドとビルマの違いを分析している。このところ偶然、インド、アジアの精神史と続いて読んだので、これも似たようなところに位置付けることができ、面白かった。

スーチーさんのことは何も知らない。この本が初めて。これを読む限り、知性、教養、感性、正義感、ビルマ人としてのアイデンティティ等々、申し分ないものを備えていて、こういう人がリーダーだったらいいんだろうにということをとても感じさせる人だった。他の方によるスーチーさん論というのも、このような本だから批判的であるはずはないとは思いつつ読んで差し引いたとしても立派な感じ。それと、隣国なのでどうしてもタイと比べてしまうのはしょうがなくて、1度行っただけの印象でも、同じく敬虔な仏教の国とはいえ何も似ている点がないように感じたけど、これを読んでいて、ここまで違うんだあというのが新鮮だった。タイというのは植民地にならなかったことで、それは植民地政策のせいというのもあるような面もあるらしいとはいえ、本を読んでいると外国人を受け入れ自分からも出て行き、貿易をしてとにかく情勢にどう柔軟に対応するかに腐心してきたことが読み取れるけど、この本でスーチーさんによるビルマ像を読む限り、まさに正反対ではないか。ちょっとびっくりだった。中国やインドといった大国に接していることとしていないことの違いもあるんだろうか。かなりびっくりだったけど、旅行の時の印象を思い出すと妙に納得で、それも面白かった。今年、行ってみたいなあ。行くかな。
by kienlen | 2012-08-18 09:41 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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