『新・がん50人の勇気』

久々って感じで書店で買った本から最初にこれを読んだ。柳田邦男著。取り上げられているのは表現者達。ちらっと目次を見て、千葉敦子とか米原万里とか黒沼克史とかの名前が目に入り購入を決めた。それに柳田邦男だったらはずれはないだろうから安心。昔昔、某週刊誌を読んでいた頃に千葉敦子さんがガンと闘う日々をそこに連載していて、当時、ものすごく衝撃を受けた。まだ日本では告知するしないの議論もそう活発じゃなかったんじゃないだろうか。自分の意識としても、ガンになったら知らないうちに死んじゃった方が幸福かも、みたいに感じてたような気がする。ところが千葉さんは自分の容態から何から何まで細かく綴っていた。どうしてこんなに強いんだろう、ここまで主体的になれるって何だ、というのが、見たくない、知りたくない、何もかも怖いという傾向のあった自分が受けた衝撃だった。さすがにあれから何10年も経って自分もいくらかは成長だか退化だか知らないが変化はしたと思うけど、まあ、もっと成長だか退化だかをするためにもこういう本は必要。

ずっとガンを取材してきた人なので、告知するしないもそうだし、医療の進歩もそうだし、それによる人々の意識の変化もそうだし、諸々の変遷の分かるところも、個人差といういう以外の一般論としてもひじょうに興味深い。私は柳田邦男は『犠牲サクリファイス』を読んで深く感動したのは覚えている。かといって雑誌なんか以外でまとめて読んだことはないかもと、今回こうして読んでみて思った。森瑤子もでてきた。バンコクにいる時に、とにかく本不足だったから何でもいいって感じで友人が持っていた森瑤子を、日本にいたら読まないかもなあ、と思いつつ何冊も読んだ。なるほど最後まで美学を貫いているところはカッコいい。大勢登場するのでひとりひとりに割いている字数はそんなに多くなくてポイント的。それとほとんどが表現手段も表現の場も持った人達だから、それで昇華できる部分は大きいだろうなという印象。取り上げ方としては、一部の章を別にしてあまり年齢は強調されていないようだった。やはり年齢は大きいと思うけど、それは外からの目であり当事者意識としてはそうでもないんだろうか。
by kienlen | 2012-07-15 14:07 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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