「ポエトリー-アグネスの詩」

う~ん、すごいな、韓国映画。ここ2年くらいに、ここで公開された数本を見ただけなので、そんな分かったような言い方はおかしいけど、なんか表現しようがない。人間らしい、生々しい、それを超えてすごい。多分とても地味な映画なのだと思う。観客も3人しかなくて、とても小さなスクリーンの劇場での上映。予告を見て見たいと思っただけのことで評判も知らないし、何も知らないので、入った時の静けさと、ありふれた出だしと、ありがちな展開に、これはどうかな、と思った。でも、物語が進むにしたがって、ハラハラするし泣けるしで、やっぱすごいなって感じになった。かなり長いけど全く飽きない。たまたま直後に会った友達に「はあ、良かった…」と言うと「テーマは何?」と聞かれた。それにどう反応したらいいのかな。家族、生きること、世代間の葛藤、老い、現代社会の病理とか、そういう言葉はすぐに浮かぶけど、これじゃあ単なる羅列か。

主人公が65歳の女性。後ろの方になってアルツハイマーと診断されることになる。中学生の男の孫とふたり暮らし。とてもお洒落で少々浮いた感じが妙にリアル。風景は日本のどこにでもありそうな都市とそっくり。農家の造りも似ている、というか、韓国の方が先でしょうけど。女性はヘルパーもしている。そこで起きることも、どっちかっていうとありふれた展開で予想はつく。部分部分は意外性はないし、何がいいのかというとよく分からないけど、つまり普通を描くことって難しいのに、それを徹底的に普通に描いているのがすごいなって感じ。多分、詩というものが入っていることで普通過ぎる展開を吸収できているように感じた。大げさなことも大げさな装置もなく、ただ撮りましたって感じの仕上げ。テレビドラマでこういうのがあるのかな、みたいな。でもどこか自分でも分からない部分にずっしり響く。終わり方も煮え切らない。ことごとく煮え切らない。でもそれが一般庶民なんだということを突きつけられているというか。優しくもなく冷たくもなく、そうだ、ハードボイルドからカッコ良さを引いて、何かを過剰にさせてバランスを崩して、何かをちょっとずらしたみたいな感じというか。いやあ、良かったです。
Commented by tate at 2012-07-04 20:08 x
私も作日10時半の回で見ました。観客2人。
あっけないくらい何にもない自然な淡々とした、でも起きた事件はすごく重く・・・、主人公の行動が初期のアルツハイマーが原因なのか、単に天然なのか分からないシーンも多く、ラストにいたっては、観客にお任せみたいな感じで・・、でもそういうところがまた良い感じの映画でした。
私は主人公は女子中学生と同じ道をたどったのだと思いましたが、
どう思います?あの天然のままどこかでふわーっと生きている可能性もあるのかも。
観客の想像に任せるのが韓国風なのだろうか。それともこの監督がそういう手法なのだろうか。韓流に乗れなかった私には分からないんですが。
明日はサラの鍵を見ようと思ってます。
Commented by kienlen at 2012-07-05 00:25
主人公が詩の教室で回想する場面で、同じ道を辿ったのだと思いましたよ。細かいところが符合するようになっている、と、少なくともそういう可能性を示唆しながらも分からないという微妙だけど、わざとらしくないところがすごいなと思ったんです。あのふわっとした雰囲気は、ある意味乖離を経験している人なんだろうなって気がしました。その発端がその同じ道だと思った。だから現実の出来事への向かい方がね、ああなるのはすごくありそう。ああいう描き方ってよくあるのかなあ。私は本当にすごいなあと思ったです。私も韓流、全然知りません。サラの鍵、知らない、感想ぜひよろしく。
Commented by tate at 2012-07-05 09:11 x
そう、あのふわっとした感じがよかったよね。

サラの鍵、明日までだから是非調べて映画館へ。
フランスの映画です、
ユダヤ人迫害に、フランス人が関わったという話らしいですが、
サラちゃんというユダヤ人の少女役が素晴らしいとのこと。
現在と過去をリンクさせ話が進むみたいです。
こんなに上映が短いとは思わず、急遽夜に行くことにしました。
Commented by kienlen at 2012-07-05 20:56
私も検索してこれはぜひと決意。最終日の明日行く。情報ありがとう。
Commented by tate at 2012-07-06 06:25 x
夕べサラの鍵、娘と観ました。
感想はまたあとで。
by kienlen | 2012-07-03 23:39 | 映画類 | Comments(5)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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