『日本辺境論』

内田樹著。大変面白かった。もっと早く読めばよかったと思った。この間、書店で古書市をやっていて、そこで見つけ、一応存在は知っていたのでどんなもんかなと思ってなんとなく買ってみた。長い前置きに耐えると、後はとても面白い。タイトルの通り、日本人というのは中心の人の発想や思考ではなくことごとく辺境人なのだという内容で、具体的にどういうことかを説明しているもの。すごく納得できた。日本の独自性は何だとか、もったいないという言葉がどうのとか、日本語は難しいとか、その手の、単純としか感じられない話は基本的に苦手だけど、この本のような解読だと、なるほどって感じ。ハイブリットな日本語の特殊性についてもこれなら分かる。以前、講演だったか本だったかで、読めなくても意味を理解できる日本語という言語が国民の平等性に寄与しているというようなことを聞いたか読んだかした時に感動したが、ここでもそれと似たような話が出てくる。

学びとは何かを分析した上で、辺境人の学びは効率がいい話とか、全体にとても楽しく、なるほどな展開。何が良いかといって、だからそういう日本人はダメという道筋でないことで、また逆にだから他より優れているのだみたいなバカらしい話でもなく、だからそういう特徴を活かしましょうというのが、もうまったくもってその通りと感じる。日本人のコミュニケーションのスタイルが相手との上下関係というか、自分が上に立つことを目指してしまうのも日本語に内在する特殊性からみたいな話は、どうなんだろうかと思ったけど、実際のところ政治家だとか評論家だとかの話し方を聞いていると、なるほどこれね、と思える感じ。かといって、これを面白いで済ませていいようにも思えないのだが、辺境だから。日本の漫画が世界的に人気というのはあるけど、ここではフランスの例として、今や日本式に右から開くようになっているということ。すごいことだな。と感じるのも多分辺境人だからか。前書きでも途中でも後書きでも、オリジナルの論ではなくて色々から引用したり参考にしていることが強調されている。こうして色々並べて解説していただき、横断的に論じていただき分かりやすかった。楽しかった。
by kienlen | 2012-06-22 07:40 | 読み物類 | Comments(0)

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