流動的家族

この間、友人から電話があって、いきなり「おたくのだんなさん、大学出てる?」と聞かれた。出てるけど、と言うと、長々説明していたが、つまりはタイに進出したい会社があってタイ人のマネージャーを探しているということだった。「子どもの学費がかかる間だけでもいいじゃない」と言う。いつどうなるともしれない店を、じきにどうにかなってしまいそうな日本でやって丸ごと学費に消えるより、そういう条件の方が給料ちゃんともらえるし安定していいじゃないのということに違いない。まったくもってごもっともでありがたい話ですが、私へのオファーでもないものを「お願いします」とも言えず、ちょうど夫の店に向かっているところだったので、本人に話してみるということにした。だいたい返事は想像つくんだけど。それと客観的状況としてはバーツで稼いで円に換えるんじゃあ、あんまりでもあるという事情はある。

せっかくのお話なので夫に話した。彼の言うことは「娘がいなければ行く」というもの。「一緒に行けばいい」と私は思うから言う。相手、もごもご。しかし日本にいると、タイはちょっと怖いというのはある。住めばどってことないと思うけど。〇〇だから我慢する、というのは私としてはあまり喜ばしくない。許される限りの満足感をもって生きていただきたいからだ。よって、〇〇が解決できる類のものであればしていただきたい。「タイの方がいいっていうなら、我慢する必要ないよ。自分のしたいようにした方がいいでしょ」と言う。それに対してももごもご。確かにそう簡単に決められないのは分かる。だから言い訳がましいことを言うのだ。こういう会話をしていても言葉が分からない娘はぼけっとしている。ただ、父が目の前にいると俄然強くなる。母へは敵意さえこもった視線を向ける。父は常に味方というか言いなりというか。そういう存在があるのって羨ましいな、ほんと。で、こういうやり取りを聞いていて口を挟むのは居合せたタイ人女性だった。「なんていい奥さん!」ということになる。多分彼女の中では、基本的に信用できない男というものに対して「お好きなように」って言ったらまずいでしょ、ちゃんと管理してないとってことだろうか。それは私としては苦手な分野なんでしょうがない。
Commented by jun at 2014-04-01 07:06 x
なんていい奥さん!とハンナ・アーレントを見ても思った。というか人間として良い生き方だなあ、というところも描かれていた。とっくに終了と思って諦めていたいたのだが予期せぬロングラン?で一昨日観てきました。あらためて勧めて頂いてありがとうございました。
ナチも、巨悪というより凡庸な悪との洞察はハイデカーをも越えるとも言え、そう言う理解は東洋にも古くからあり、私たちの歴史解釈や事実認識にも問い掛けをしている気がしました。ハンナは唯一、良き夫と友人の一部、一人の秘書、そして何よりも若い学生のファンに理解されたのみで、それでも人間を友人を見つめ続けた。
あまり書くとネタバレになるので止めます。
ところでリトアニア、いいなあ。
Commented by kienlen at 2014-04-03 07:18
junさん、おはようございます。映画館のマネージャーが「期間延長した」と言ってました。見れて良かった、良かった。今の時代にあの映画、というのもねー、考えちゃいますよねー。
by kienlen | 2012-06-14 08:44 | タイ人・外国人 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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