犯罪を扱ったノンフィクション2冊

間に1冊挟んだけど、ほとんど続けて読んだ2冊。1冊は佐野眞一著『別海から来た女-木嶋佳苗悪魔祓いの百人裁判』(◎)で、もう1冊は斎藤寅著『世田谷一家殺人事件-侵入者たちの告白』(●)。事件ものではあるけど、全く違うタイプの内容。●は怖かったなんてもんじゃない。警察で捕まえられていない犯人を特定しているのだからすごいけど、これを読む限り、警察の問題がどでかい。小説なんかでも必ずのように出てくる縄張りとか、情報の取り扱いの問題とか、山積み。初動で大人数を動員することの問題も、なるほどねと思った。もっとも◎でも警察の問題は指摘されている。◎は裁判の傍聴記録が中心だが、佐野眞一なのでもちろん生育環境等を調べ、とにかく尋常の人物ではないということを浮き彫りにしている。私はマスコミでどういう扱いになっていたかということを知らない。テレビを見てなかったから。確実な証拠もないんだしなあ、程度に思っていたけど、これを読む限りものすごい人物だ。読みながら、扱い方自体に対して好き嫌いは分かれるんじゃないかって気がした。私が読んでみようと思ったのは、この事件に対する興味というよりは、この著者の本だからという方が大きい。かなり私情が入っていて、それと事件の特異性をどういう視点で見るかという点でも、自分としては大きな違和感を覚えなかった。

●の方は、なんといっても怖い怖い。◎もそうだけど、こちらも時代の節目という位置付けがなされていて、それも納得できる視点だった。警察の内部、秘密の情報網を駆使して、何かに突き動かされるように、というよくある表現がぴったりの勢いで事件を追ったもの。警察にやっていただきたい仕事だとつくずく思った。タイトルを見ただけで食指が動いたわけじゃなくて、こちらは出版社が草思社だったからというのと、図書館で見つけたものだからという事情で読むことができたのだが、途中で止められなかった。小説よりもハラハラ。とても読みやすく、癖のない文章で好感。日本社会の中の外国人について日ごろ感じている部分と重なる部分もあり、小説じゃないだけに一層鬼気迫るものあり。ひじょうな力作。種類は全然違うのだけど、次元の違うところから人を見れるという点では、異邦人性みたいな部分で不思議な共通点があるなって感じがした。◎の事件の方は、友人が別の著者のを買うっていっているから借りて読んでみて視点の違いを知りたい。
by kienlen | 2012-06-08 16:45 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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