『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』

昨日はちょっと危機的なことがあった。といっても命の危機とかそういう類のものじゃないのだが、仕事の件で。どうも仕事に足が着いていない感がこのところあった。仕事モードになってない。この切り替えは内面的にはひじょうに重要。そんなだから、今仕事の点で余裕があるのかそうでないのかということもきちんと把握できていないような感じ。これってまずいよな、と思いつつ直面する壁がないとずるずるしてしまう。そういう時にちょっと活が入るような出来事で、逆に良かった。正気に戻ってきた。とりあえず処理はしたし。という状況と関係なく本のこと。結構な大著だし研究書でもあり、少し時間がかかってしまったけど、ひじょうにひじょうに面白かった。久々に重厚な本を読んだ。最後は出先のランチタイムにスパゲティを食べながら。中公文庫で800円。たった800円でこの充実の内容。本って素晴らしいなと感じる。構成は分かりやすい。テーマは、大東亜戦争になぜ負けたか。そのテーマの答えを探るため、日本軍の戦い方と負け方を分析する。分析の素材はノモンハンから沖縄戦まで6つの負け戦。つまり事例研究ということ。ここに半分以上が割かれる。ちょうどこの間、よく行っている講演会で日露戦争の勝利がその後の日本軍に何をもたらしたかという話しを聞いて、それが面白く、で、この本を通じてその話しと重なる部分もあり、ますます面白かった。

事例研究から失敗の本質を浮き彫りにするのが次の章。付箋を貼っていたらキリがなくなり途中で止める。ここまででも大変に疲弊するというか、気持ちは沈むわけだが、最後の「失敗の教訓」という章にくると、もう生々しさがここに迫ってくるようで胸どきどきになる。だって、この失敗、今の政治状況やら経済やら、そのまんま当てはまるではないかと思えてしまって。原発事故だって、この分析枠組みがそのまま使えそうだし、応用範囲広そう。それもそのはずで、組織論的研究であるから。こういう種類の研究書って読んだことがなかった。そのせいもあってか、隅々まで実に興味深く、そして納得できるものだった。日本の官僚制度の特徴も、ふむふむって感じだし、とにかく隅々まで丁寧で感動。記述スタイルも難しくなく、まあ、酔っ払っても読めるというような内容じゃないけど、素面なら大丈夫。音楽聴きながらはダメ、自分の場合。書かれたのは30年前。今まで知らなかった自分も自分だけど、今から読んでも遅すぎない。今の方がピンとくるかな。この時代状況の中で一層教訓に満ちた内容に感じられた。手元に置いておきたい素晴らしい内容でした。ありがとございました。
by kienlen | 2012-05-23 17:58 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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