帰国間もなくでの死

昨夜、映画の帰りに夫の店に寄ると「ナナが死んだ。つい2時間前」と言われた。タイ人の日本語名をいちいち覚えられない。それと諸事情あり、あまり覚えたくもないので「ナナって、私、知っている人?」と聞くと「何言っているんだ、年末にタイに帰ったナナ」と言われた。えー、彼女が!知っているなんてもんじゃない。確か日本に10年くらいいて、さすがにもう潮時でしょうということで帰国したのだった。タイに夫も子どもも残してきた典型で、夫が車を所有していてどこにでも連れて行くからタイに行ったら連絡ちょうだい、ってことで帰国のパーティーをやって別れた。居合わせた誰かが「彼女、何歳だっけ」と尋ねた。39歳じゃないか、いや、40歳いっているかな、というところ。「若いよねえ」ということになる。子どもがまだ中学生だ。その後、別のタイ人も集まってきて、彼女の話題。死を知ったのは、彼女の日本在住時のパートナーが店を訪れてウチの夫に電話してくれるように頼んだらしい。それで電話したら「今亡くなった」ということだったそうだ。これはこれですごい偶然というか、呼ばれたのかもしれない。

原因はよく分からない。日本にいる時から体調が良くなかったと言っている人もいる。保険証がないから病院に行かれなかったのがいけなかったのではないか、という人もいる。夫が何度か先方の家に電話で状況を聞いているようだった。それにしてもこちらに在住していたタイ人の死亡率は高いような気がする。夫はもう何人も見送っているはずだ。自殺もある。この間の母の四十九日法要でお坊さんの送迎を担当したのだが、その時に「だんなさんはもう日本に長いから慣れたということですかね」という、微妙な質問を受けた。慣れる…というのはどういうことだろうか。慣れるというと、慣れて楽になるという感じを思い浮かべる。でも、外国に慣れることがどういうことなのか、結構難しいようにも思う。慣れれば慣れるほど、自分の国との距離感が広がるようにも思うし、かといって異国に同化は無理だろうし、その必要もないだろうが、どういう状況であれストレスなしなんて有り得ないとはいえ、やはりストレスは大きいと思う。そういえば前に店にいたコックさんもタイに帰国して間もなく亡くなってしまった。すごく元気だったのに…。今度タイに行く時は実家を訪ねてお参りしてきたいと、今になってやっと思うようになった。「新年おめでとうって電話来たのが最後だった」と、夫もタイ人達と話しながら涙ぐんでいた。
by kienlen | 2012-05-15 09:10 | タイ人・外国人 | Comments(0)

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