入籍のお知らせ

郵便受けにダイレクトメール以外のハガキが届くことは稀だが、昨日はその稀な出来事があって、今、机の上には知人のTさん(男性)からのハガキが置いてある。正装の2人の写真がプリントされ、友部正人の詩が添えられた入籍のお知らせ。音信不通という関係でもないのに、誰かと入籍まで進んでいたなんて全然知らなかったのでサプライズだ。お相手はどんな人なんだろうと、純白らしいドレスに身を包み、小さなブーケらしきものを膝に載せた女性を、老眼鏡が必要になりつつある目を細めて凝視してみたが、パソコンでプリントしたらしき写真のサイズといい粗さといいい、判別できそうなできないような、故意か偶然かも分からない微妙な出来具合である。で、こんなことをしているうちに、意外な副産物を発見してしまった。それは「結婚」という言葉は不使用で、あくまで「入籍」報告であること。つい先日、別の知人(男性)と雑談中、突然起立して「実は結婚することになりまして…」と宣言するので、私は「何?結婚って。どっかで式を挙げるって意味?」と反射的に聞き返してしまったので、ハガキに向かってそういう愚問を発しなくていい配慮があるのは、さすがに(死語でなければ)文学青年のTさんだ。なお、その知人の場合も結婚=入籍を意味していた。

タイにいた時は、タクシー運転手からも「結婚しているか?」が挨拶代わりみたいなものだった。「している」と答えて終わるかと思うと、まず必ず、日本風にいうと「入籍までしているのか」と続く。タイ語ではカノジョ・カレシ・恋人・愛人・妻・夫等を同じ言葉=フェーンで言い表せるし、内縁関係が多いので、ここまで突っ込むのがクセになっているのだと思ったが、それで、自分にもそのクセが移ったのだが、日本でもこういう二段階確認がいるくらい、制度が介在する男女関係が多様化しているようだ。そうなると、欲しいのは、タイ語の「フェーン」に相当する言葉。公私も性別も超えた個人の味方の言葉だと思う。
by kienlen | 2006-04-13 14:35 | 男と女 | Comments(0)

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