池井戸潤著『下町ロケット』

ここんとこ読み続けてきた池井戸潤作品、これでひとまず終わりにしようと思った。こちらは娘に図書館から借りてきてもらった。毎度毎度思うことは、息子なら考えられない。図書館行ったことないだろうし、本も読んだこと、ほとんどないだろうし、こういうお願いをすること自体、親として思いつかない。違うタイプで良かったというか、いちいちそういうことが浮かんでくる自分も自分だけど。満足感ありました。面白かった。どれも展開は似ているけど、つまり、登場するのが中小企業と某特定財閥系大企業と銀行で、ハラハラするが最後は一見弱き者、正義が勝つのだという、あんまり見たことないけど水戸黄門スタイルってこういうのを言うんだろうなって気がする。安心だし、後味が悪くなく、希望が沸いてくる。悪い奴はかなり悪く、良い人はとことん良く、というのも、娯楽として楽しむには分かりやすい。それと悪いといっても人間的に救いのない悪さではなく小市民的な悪さというか、社会的自己保身的レベルというか、社会の産物的というか、システムの犠牲者的というか、そういう悪さ。かといってこれがリアルなのかというと、まあどうなんだろうか、まあだから小説にする意味があるんだろう。小説って面白いなと感じさせてくれる。それと、登場人物がそれなりに単純というか、自分なんかには別世界という感じのないのが、ここがリアリティがある点。

東野圭吾とかだと、自分自身が心の闇が深くない単純な人間なので、どうも、あの執念深さみたいなのは疲れるというかピンとくるものがなく、まあこういう大変な人もいるんですね、レベルで、まあだからまあそれが面白いのかもしれないが、ちょっと低年齢層向けってことか。池井戸作品の方が少しくたびれた大人向けな感じ。それに企業とか銀行が舞台というのは基本的に私は好きなんである。社会の仕組みが見えてくる感もあり。この本を読んでいる最中、ごく小さな会社の社長と話していたら、そこは開発と製造もしているからアイデアがいろいろあって聞いていて面白く、環境関連だと「それって補助金出そうなアイデアじゃないですかあ、社長」と言ってしまうのだったが「それが出ねえんだよな。何で〇〇に出て、こっちは出ねえんだ」となる。誰がどの分野に金を出すかって、そういう流れなのだ。「それだけ斬新って証しですよ」というまとめ。いつからまとめるようになったのか、年のせいか。ということで結構お役立ちな内容。実用エンターテイメントって感じだなあ。そうそうファンタジーという分野がもともと苦手な自分としては、これなんだ。今気付いた。
by kienlen | 2012-02-16 09:11 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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