『空飛ぶタイヤ』など

ここんとこ小説続き。池井戸潤のこの本は前から読みたかった。それが今頃になった。面白かった。長編だけど飽きることなく夢中で最後まで。その前に『銀行仕置人』というのを読んでいた。こちらも面白かったけど、やはり陰影の深さというか、力の入れようが桁違いって感じ。いかにもあそこと分かる自動車メーカーと、いかにもあそこと分かる元財閥企業と、いかにもあそこと分かる系列の銀行が出てきて、もう呆れるくらいのやりたい放題が通じてしまっている構造があって、その構造の中でいくらか良心的な素質のある個人がいても、そんなものないが同然で、その犠牲になるのが中小企業で、たいていは泣き寝入りなのだが、中に半端じゃない骨な社長がいて、そのがんばりが周囲を巻き込んでとうとうハッピーエンドを迎える、というもの。モデルになっているのはトラックからはずれたタイヤに直撃された死亡事件と思われるが、この本は小説。

ハッピーエンドというのはいいなあと、このところ思うようになった。すっきりする。そういうカタルシスが小説の重要な要素であるみたいなことを、解説で大沢在昌が書いていたように思う、確か。この解説、面白かった。しかしこれを読むと銀行も大企業も中小企業もマスコミも、真っ暗闇って感じで、就職活動中の人なんかが読んだらどうなんだろうか。ま、そこまで本気にする方がおかしいのか、と思わせるくらいにリアルだった。ちょっとPTAのくだりはあまりに極端と思ったけど、まあしかしありそうな感じもあり、あくまでひけている無責任な校長とクレームつけまくりな親というのも、このミニチュア版くらいならいくらでもありそうで、大きな違和感はなかった。企業小説というのは結構好きな分野だけど、しばらく全然だった。やっぱり面白いなあ。ということでまた2冊購入済み。それが終わったら下町ロケットを読んで一区切りとしておこう。
by kienlen | 2012-01-15 14:04 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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