『ステップアップ翻訳講座-翻訳者にも説明責任が』

読んだ理由は著者が別宮貞徳先生だから。前に読んだ裏返し文章講座が抱腹絶倒だったから、またそれを期待した。こちらもすごく面白かった。そしていろいろ考えた。言葉って何か、訳すって何か、伝えるって何か。この本の趣旨は、サブタイトルにもある通りで、各分野で説明責任が問われているわけだから、翻訳者にもあるだろう、という極めて了解可能なもの。これは英語でいうとaccountabilityで、そもそもこれはどういうものかを説明して、政治家の説明責任について触れそうになり「ぼくの性分にも合わないのでやめておきます」ということで、「ぼくのいいたいのは」「翻訳者の説明責任」であることが説明されている。こんな風に流れを説明しても面白くないわけで、醍醐味はやはり説明文の面白さと、そこに踏み入る角度。

後半が実践的な翻訳講座みたいになっていて、訳文1に対して先生による訳文2を対照させて、いちいち解説していくもの。で、この原文の英文が難しくて私なんかほんの一部しか分からない。でもとにかく書いている内容が面白いし、言い分はすごくすごく納得できるのでついフムフムと読んでしまった。単語ひとつ、フレーズひとつ覚えたわけではないけど。翻訳しているけど「日本語になっていない」という指摘がいっぱいでてくる。日本語の場合は人称代名詞を省けるだけ省いた方が自然であることを重ねて強調。その他、英語の特徴と日本語の特徴は異なるわけだから、そこを考慮しないとどうしようもないものになる。でも学校のテストだと一字一句訳さなければならず、それの弊害ですね、ということになる。ということを、深遠且面白く語っているわけだ。長生きしてもっと書いて欲しいなあ。他のも早速読みます。日本語の勉強になるというか、日本語を外から見るのが楽しい。
by kienlen | 2011-10-02 08:47 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
プロフィールを見る