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『今こそアーレントを読み直す』

仲正昌樹著。この人の本が好きなので久々に読みたくなって買った。新書だから専門的過ぎることもないだろうし。帯の文句は「アーレント的思考が、現代社会を救う!閉塞した時代だからこそ、全体主義を疑い、人間の本性・公共性を探る試み」。大変に面白かった。最近簡単な本ばっかり読んでいて、まあ、これも新書用に易しくしているので難しいことはないけど、でも、一応読み応えはあった。全体に面白かったけど、特に自分にとって、なんだか嬉しい、と感じたのは、終わりの方の章の「傍観者ではダメなのか?」。これが常々疑問に思っていて、誰かに何か言って欲しいと思っていた部分だった。傍観者はダメ、という言説は多い。というか、そればっかりな感がある。でも、みんなが現場に行ってしまったら収集がつかなくなるだろうし、適正な判断を下すためには見ていることは大切で、見ている=傍観者、それがいけないと言われたら一体どうしたらいいんだ、というのがあった。

それにヒントを与えてくれる章だった。なんか、すっきりした。思想の解説って意外に味気なかったりするが、で、そういうのって読書の楽しみをくれないのだが、これは、著者の踏み込んだ解釈がちゃんとあって、それを断っていて、すごく楽しめるようになっている。サービス精神たっぷりって感じ。楽しいというのは変ですが、ひねり具合が心地良い。それにしても、いつも感じること。まっとうな物言いに対しての批判というか非難というか中傷というか、そういうのがそんなに多いのかってこと。だから、そこからスタートしてくれなくてもいいんだけど、そこ省略していいから本題に行ってくれ、と、かゆくなるような前振りがある。それも面白いからサービス精神からかもしれないが。しかし、それにしても、目の前の政治…。
by kienlen | 2011-09-11 23:36 | 読み物類 | Comments(0)

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