『原発はいらない』

小出裕章さんの著なのでささやかながら購入。隅から隅まで同感。1ページ目から何だかいきなり泣けてしまってしばらく中断してしまった。ここまで一貫して核の科学者として原発に反対してきた人が、福島の事故に責任を感じ謝っている。謝らなくちゃいけない人は他にたくさんいるはずなのに。強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている意味がないというのは私の好きな言葉だけど、その通りの人という感じ。『原発のウソ』では、私的なことはあまり書いてなくて緊急的な初心者向けという感じだったが、この本には、なぜ、いかに原発に反対してきたか、そしてそれがどのように潰されてきたかが、静かな謙虚な語り口ながら毅然と書いてある。60年代、70年代、みなが原子力の平和利用に夢を描いていた頃に、そのひとりとして核を学び始め、学生時代に住民の反対運動に加わり、研究をやめる仲間もいる中、彼は内部から危険性を訴え反対するために研究者になった。

尾行されても昇進できなくても、とにかくそれを貫くことに全くブレがなく、反対運動を支えてはほとんどで破れてきた。でも和歌山では建設を中止できたんだということも知った。それにしても今も充分に何乗しても足りないくらいに恐ろしいが、将来にわたる核廃棄物の問題を一体どうしろというんだろう。研究者の不足も恐ろしい。それでも推進するというのは、どういう思考経路で理解していいのか私には分からない。自分には科学的な知識がないから、とか、こういう次元で考えちゃいけないんじゃないかとか、科学的であるということは人間中心でないといけないのかとか、そういうためらいを払拭してくれる本当に優しさに満ちた本だ。学校の副読本で使ったらいいのに。とにかく畑を見ても川を見ても空を見ても放射性物質を思うというのは、それが永遠と続くというのは嫌だ。でもすでにそうなってしまった。タイトルそのまま同感。
by kienlen | 2011-08-30 18:06 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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