祝の島

祝の島と書いてほうりのしまと読む。知らなかった。そういう難しいタイトルの映画をしばらく前に見た。見たいなと思っていたもので、たまたま試写会にて。これは鎌仲監督のミツバチの羽音と地球の回転を思いながら見るとさらに興味深いように思う。舞台は同じく祝島。山口県の上関原発の予定地からたった4キロに位置する離島である。島民は映画の時点で28年にわたって原発に反対しているのだが、その人々の日々を淡々と描きながら暮らしの中に反原発が折りこまれている様子が伝わってくる。ミツバチの方はメッセージがあふれてくるつくりになっていて、原発の代替案の提示も明快だが、こっちはもっと静かに島の自然とそれに沿った生活を「引き継ぐ」という視点でつくられているように感じた。キャッチコピーも「1000年先にいのちはつづく」というもの。もうひとつは「原発予定地から朝陽がのぼる 島のいちにちが今日も始まる」というもの。美しく広がる海の先、朝陽の昇る場所に原発が建つというわけだ。たまらないな。

農業や漁業を営む高齢の方が中心に登場する。一本釣りの漁師が釣れた魚に「よく来てくれたな」等々、いちいち話しかけるシーンなどじんと涙が出るし、こういう暮らしを駄目にすることの意味について考えないわけにいかない。人間に一番必要なもの、つまり食べるもの、つまり米をつくり、魚やひじきを採る暮らしを続けたいと言っているだけなのだ。原発ができたらそれができなくなると。でも町議会では原発推進が強く、反対の意見は消し飛ばされる。今、状況は保留になっているようだが、中国電力からは巨額の金が「寄付」されているそうだ。ただし祝島の人達は億単位の金の受け取りを拒否している。建設阻止の行動に出かける時も「あなたたち、命をかけたことがあるんですか!」と呼びかける。島人は命をかけているわけなので説得力がある。相手は無言。毎週月曜日は村内をデモ行進し、建設が進みそうになるたびに抗議行動に出る。農作業も漁も休んで行く。28年の間に亡くなった人もいる。しかし日本って国はすごいな。硬直化の度合いが半端じゃない。よってそれが崩れる時の衝撃も半端じゃないわけだ。しみじみしたいい映画だった。
Commented by tate at 2011-07-10 15:42 x
私は試写会行きそこねました。来週から公開になるらしいので、観に行きたいです。
ところで、10時からの映画祭、今週も良かったですよ。イタリアが舞台のニューシネマパラダイス。貧しい村で唯一の娯楽の「映画」。映画が大好きな子どもと映画技士の物語が、村唯一の映画館を中心に描かれています。映画の中の観客は全員で拍手したり、大笑いしたり、ブーイングしたり、泣いたり、感情表現が豊か!私もつられたのか、いつもより笑ったり泣いたりしてしまいました。お薦め!夜もやっているから、ぜひ、お嬢様と。
Commented by kienlen at 2011-07-10 20:33
この映画は2度見ているんですが、実はそんなに好きじゃないので娘も誘わなかったんです。なんか、内輪受けの感じがして苦手。映画好きには評判いいですよね。ううむ…。
Commented by tate at 2011-07-11 22:19 x
そっかー。私はろくに映画を知らないので、「内輪」が何かが分からなかったのかも。名画もチャップリンくらいしか判別できなかったし。・・・残念。
Commented by kienlen at 2011-07-12 07:11
tateさん、誤解しないで。そんな深い意味の「内輪」じゃないんです。なんとなく。私も映画詳しくないもん。・・・ごめん。
Commented by tate at 2011-07-12 08:10 x
いやいや、なんとなく分かるような気もします。細かい所、すごく凝って作ってあって、分かる人には分かる・・・みたいな雰囲気はあるかも。好みですねぇ。
Commented by kienlen at 2011-07-12 15:14
そうそう、つまり好みだと思います。それとセンスと。「刑事ジョン・ブック-目撃者」というのを勧められていますので、そんなに気が進まないけど行ってみるかと思ってます。
by kienlen | 2011-07-09 08:09 | 映画類 | Comments(6)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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