『ベトナム語 はじめの一歩まえ』

これは面白かった!こういう本が読みたい、とずっと思っていたものにやっと巡り会えたという感じ。図書館で偶然見つけてタイトルで予感があった。著者は冨田健次さんという大阪外大の先生。こういう内容でタイ語もクメール語もビルマ語もロシア語もドイツ後もアフリカの知らない言葉もいろいろ読みたい!つまり、その言葉を全く知らなくても面白いもの。言葉を入り口にして文化や社会がイメージできるもの。ベトナムに行った時の印象で何といっても強烈だったのは、特に北部における中国の影響で、一応儒教文化圏であるという認識はあったものの、現実に漢字いっぱいの寺や碑や、タイとは全く違って中国的なお寺の様式などを目の前にした時は衝撃だった。ベトナムって東南アジアという思い込みが強くなってしまっていたのが、そもそもの間違い。ちょっと旅行しました、程度の人にも分かりやすい内容で、著者の個人的体験も語っていて、専門家でないと分からないところも易しい説明で、すごく面白かった。

ちょっと残念だったのは、多分この本の趣旨とずれるということで省略したのだと思うけど、ベトナム語という言葉の解説のさわり部分だけでも欲しかったな、という点。具体的にいうと、発音の仕方。アルファベット表記なので表記の基本ルールと発音と声調の基本を示しておいてくれたらな。ま、相当に複雑だとは思うけど。というのは、ベトナム語を話すために学びたいというんじゃなくて、単に理屈を知りたいだけなので、わざわざベトナム語の教本まで欲しくはないのである。毎ページに例文が載っていて、そこに解説が皆無で余白部分が多いのだから、ここにちょこっと解説を入れてくれないもんかな。ま、それはともかく、中国文化とフランス文化という、東と西の文化に深く影響されている象徴としてアオザイのことが紹介されていた。旅行以来何冊かベトナムの本を読んだけど、アオザイの成り立ちは初めて知った。紹介するまでもない常識なんだろうか。タイとはすぐ近くの国ではあるが、中国という大国に接しているかそうでないかでここまで違うのである。ベトナム語に関する解説はさすがに大変に興味深いものばかり。30歳といわず、せめて25歳若かったらベトナム語を勉強したい、と思うかもって内容だった。
by kienlen | 2011-06-25 11:01 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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