『原発のウソ』

原発事故以来脚光を浴びることになった小出裕章さんの著。3.11以後初めての書き下ろしだそうだ。存在を知っていつも行く書店で購入。陰ながらの応援も兼ねて。大変に分かりやすい癖のない記述で昨夜の一晩読書。内容も基礎的なこと。もっとも、海に流そうが扉を開けようが数値が高かろうが汚染された泥の処理だろうが、すべて「健康に影響ない」「環境に影響ない」というのが基礎だと信じている人がいたとすれば、そういう人にとっては斬新かもしれない。まえがきにまずは感動する。こういう科学者がもっといたら日本の運命は違っていたんだろうなと感じる。原子力に夢を持って研究に足を踏み入れたものの、危険性を知って考えを転換させてから、これ以上の原発が造られないように模索した。その当時、日本列島に原発は3基。それがいつのまにか54基。「申しわけない」「非力を情けない」と書いている。でも「絶望はしていません」とある。なぜなら40年前はほとんどの人が原発推進で異端扱いだったのが、今は小出さんの話を聞く人が増えたから。起きてしまった過去は変えられないが未来は変えられる。まえがきではそれを言っている。

「福島原発はこれからどうなるのか」が1章目のテーマ。すごく分かりやすい解説だ。楽観的になるように誘導せざるをえないんだろうなとしか思えない報道を見て、これを一体どう解釈したらいいんだよう、と思っている者には納得の、そしてもちろん安心からはほど遠い冷静な科学者らしい説明。次が「放射能とはどういうものか」の解説。こちらも極めて分かりやすい。そして次が「放射能から身を守るには」。特に子供を心配している。50歳以上になると影響は劇的に低下。以上のような知識はおさらいであるという人にとっても、4章から7章までは必読だ。本当に悲しくおぞましい日本の原子力推進の様子が描かれている。あちこちで報道されているとは思うけど、まとめて読む価値は大いにあり。日本の原子力技術が高いという神話がひっくり返されるのには、本当に「みんなウソだったんだな」と暴れまくりたくなるくらいだ。そしてこの間に太陽光発電等、日本がリードしていた分野で他国に抜かれたことの巨大な損失。最も重要なのは「原発を止めても困らない」ということ。断言している。どうしようもないんじゃないかと素人考えに思う廃棄物のどうしようもなさも想像を絶する。こんなものを推進してきたのって犯罪だと思うが、この本はそんな告発的な下品な議論は一切なくてあくまで品良く本当の怖さを教えてくれる。とにかく読みやすくやさしく、でも読者を見下さず真摯でごまかしがなく愛のある本。
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Commented by jun at 2011-06-21 12:26 x
 「愛が勝つかガイア」 あいがかつかがいあ (再掲回文)
ホントにもう一緒に暴れましょうか?
40年前も普通におかしかった原発に対して逆宣伝が量的に上回っていたということでしょうか。30年位前でも教科書や辞典にも「トイレの無いマンション」と書かれていましたから。
「辞意菅、臨界時」じいかんりんかいじ
では。
Commented by kienlen at 2011-06-22 22:26
暴れても効果ない弱者であることが残念です。トイレのないマンションなら外でする方法もあるけどねえ…。土に還るものですしねえ…。
by kienlen | 2011-06-20 21:16 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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