酒井啓子著『〈中東〉の考え方』

午後にかかるかまで、ノロノロと在宅仕事。ちょっと休憩にと読みかけのこの本にかかる。冒頭から面白く読み進め半分くらいまで来ていたが、後半も全くだれることなく最後まで。おかげで仕事の続きは諦めた。こういう本、とっても助かる。何しろ中東のことを全く知らない。よってニュースや何かあってもどう考えていいのか分からない。何かというと宗教対立にもっていくような論を信じられるわけがないくらいは分かるし、イスラム原理主義とかいう言い方がおかしいよな、くらいは想像つくが、部分どころかピンスポット的にも何も分からない。悲しいことだ。例えば「シリアの花嫁」を見て国境の町に思いを馳せてみたり、イラン革命の様子を描いたアニメなんかを見ても、歴史等についての知識不足に圧倒されるばかり。多分私だけではなくて、普通の日本人の大方はこんなもんじゃないだろうか。何か概論的な本ってないかなあとの思いが切実になっていて書店で見つけたので買ってあった。

入門書としてはすごくいい本じゃないだろうか。そもそも一体〈中東〉って何よ、から始まり、映画の「アラビアのロレンス」なんかも用いながら民族意識の高まりとか、冷戦下における各国それぞれの立ち回りが詳述され、それが結局今にどうつながっているかというところはもう感動というか、ほほう、と納得。パレスチナの問題も元から説明してくれてあり、しかも隅から隅までとにかく書き方が分かりやすい。知識ゼロから読める本物の入門書だが、教えて上げます的な風でもなく、解説書なのに臨場感があってダイナミズムを感じならが読める。ビン・ラディンとかアルジャジーラのような有名どころを適度に折りこんでいるのも興味を引くところ。突然中東に詳しくなった…なんてことはあり得ないが、エジプトの革命に「あー、こういう経緯があったからかも」と思えたりの程度には知識を得られた感じ。まあ、知識よりも面白いのは、大国との関係とか、冷戦構造崩壊後の拠り所のなさから何が生まれてきたかとかの、動的な力学みたいなもの。パンパンと弾けながら世界は動いているみたいな。独裁体制と民衆との関係とかも。それにしても日本は…ってな気にもなる。素晴らしい本だった。これでたったの760円+税。本って実にありがたいです。
by kienlen | 2011-06-05 20:27 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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