『ビックイシューの挑戦』

東京在住の友人に続けて「ビックイシューって知ってる?」と尋ねてひとりは「知らない」、ひとりには説明すると「ああ、あれね、見たことある」という反応だった。買ったことはなかった。意外に知らないんだと思ってびっくりした。ビックイシューが売られている場所に住んでいない私がどうしてこの雑誌を知ったのか、確かなところは覚えていない。それでふと思うのだが、路上販売が当たり前のバンコクに住んでいたことが影響しているのかもしれない、ということだ。日本だと路上販売が少ないので、たまにあると目がいく。そんなことで偶然買ったのかもしれない。本関係は買う習慣があるし300円だし。で、1度買ってすごく感動してしまったのだった。それから販売者に出会うと必ず購入するようにしているが、東京へ行く機会があまりないので、思い付いて、昨夜、東京とこっちを行き来している友人にまとめて買ってきてくれるように頼んだ。何に感動したかというと、仕組みと中身である。販売できるのはホームレスの人のみで、販売目的はホームレスの仕事の創出。300円のうち160円が販売者の収入になる。それでもあまりつまらない雑誌なら毎回買う気にはなれないかもしれない。ところが面白い。というか、私的には好み。

この雑誌でホームレスだけのサッカーのワールドカップがあることも知った。世界的な企業がたくさんサポートしている。冒頭にはハリウッドスターのインタビューなんかが掲載されている。表紙も超有名人だったりする。いずれもビックイシューの趣旨に賛同してのボランティア。薄いのでたいてい隅々まで読める。こういう方法で寄付になるならいいなというのが、ただお金を渡すよりもという自分のようなタイプには向いている。以前、クリアファイルに入れて渡してくれた販売者がいたので「ファイルいらないです」と言うと「こうしたいから」みたいな感じで熱心だったのでそのまま受け取ったことがある。路上販売のこと、販売の工夫、いずれもこの本を読むと、そういうことか、と分かる。イギリスが発祥の雑誌だ。各国のホームレス事情とか日本の特徴とか懸念なども含めて、誰からも「失敗する」とお墨付きをもらったビックイシュー日本版をビジネスとしても軌道にのせるまでを当人の佐野章二さんが綴っている。とびきり明るくて人間的で優しい大阪人。著者が意図したわけじゃないだろうけど、何度も泣いてしまった。すごくいい本だった。
by kienlen | 2011-05-29 09:26 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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