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昨夜観た。川本三郎の本の映画化。観たいなと思っていたら試写会に行く幸運に恵まれた。すごく良かった。時代は1969年から71年。このところこの頃を再検討する本が多いなという感じはしているが、それでなくても当時を引きずっている人は身近にも多く、そうでない人はそうでない人で、それが何なのかについて考えないわけにいかない。私はずっと、それに同世代ならほとんどそうだと思うけど、あと数年早く生まれていたらどうだったか、あそこまでの田舎じゃなかったらどうだったか、等々を考えないわけにいかない。多かれ少なかれ、そういう思いを持っている人が多いと思う。赤軍派による浅間山荘事件がなくて「危険だから女子高へ」という先生のアドバイスがなかったら、女子高に行かずに済んだかもしれない、そしたらその後は随分と違ったかもしれない、どういう方向かは分からないけど。というようなことを、つまりは考えやすいほどの迫力でそこにあるのが、あの時代だったということなんだろうな。でも、じゃあ何だったの、というひとつの答えに近いものがあったように思う。

見終わって廊下に出ると、映画評論もしている友人にばったり会った。「良かったねえ」と言うと彼女も同感だった。劇場スタッフに「良かった」と伝えると、内容は地味だが演じるのが人気俳優なので売り方が難しいみたいなことを言っていた。役者はみんな良かったなあ。ああいう性格の人がああいう人に、漠然と引きこまれてしまうというのが、身につまされるほど分かる気がしたし、こういう人いるいる、という革命家気取りを演じた松◎ケンいちが、この人って本当にこういう人なのかと思うくらい上手かった。監督はこの時代に生まれていない若い方だそうだ。そうそう「リンダリンダ」も見たけど、このくらいの引き加減がうっとうしくなくていいな。説明はかなり省略している。それがどうなんだろうかという気はして、友人とも「全然知識のない人にとってはどうなんでしょうね」という話になった。事件を扱ってはいるが、ちょっと内省的なところのある人ならその部分に普遍的に訴えてくれると思うので、何もなしに観てもいいようには思ったが、それよりももろに渦中にいた人にとっては辛いのだろうか。ずるずるに引きずっている友人に観てもらって感想を聞きたいと思った。ただちょっと怖くて言えないという感じもある。ああ、良かった。充足感あり。原作になっている本も読もうと思っている。
by kienlen | 2011-05-20 09:13 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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