『3.11クライシス!』『原発と日本人』

ネットで発行を知り書店に問い合わせたら在庫があったので取り置きで購入し、ちょっと前に読んだ。佐藤優の本だからというのが一番の理由。あの日の直後からネットや雑誌や新聞に書いたものを並べたもので、書き下ろしではないから重複があるのは当然としても、重複の程度が相当で、本にするからにはもうちょっと別の仕上げ方はなかったのかなという感じがした。各種メディアで断片的に見てはいるけどまとめて読むとどんなだろうかという興味だったので、ちょっとというかかなり残念だった。政治への影響力を意図して書いているということは説明してくれてあり、発信先は分かる。影響力を持つにはシンプルに極端な言葉も用いながら執拗にやらなくちゃならないということも分かる。よって、同じ内容を各種メディアに載せる意義は大きいし必要だと思うけど、それが1冊の本に収まるとなると、記録としては価値があると思うけど、まあそれに何といってもこういう危機的な時期の緊急出版なんだし…とは思っても、なんか一般読者としてはちょっとがっくりだった。

これの前にAERAの臨時増刊という「原発と日本人」というのを読んだ。今どきには珍しい細かい字で、有名無名な人々に片っ端からインタビューしている。これが意外に良かった。AERAって普段あんまり読まないけど、見直したくなった。原発推進派と反対派の絶望的な平行線の様子の対比とか、東電の内部事情の基本的な部分とか、情報収集力に長けた人なら知っている内容かもしれないが、私程度の者には、基本を押さえておくみたいな観点からは親切な作りと思った。何よりも隅から隅まで読んでしまったというのが、雑誌としては珍しい。サブタイトルは「それでも原発は必要か」。一般人目線としては、実にこれだろうと思う。それでも必要という論が、経済的な利害関係以外には私には分からない。そして結局のところここまでの事態になっても原子力の電気が「安い」といえる根拠がまた分からない。これだけの人々が生きるか死ぬかの苦痛の中で避難するしない、畑や漁を失う、仕事を失うって、こういう事態はまさか経済だけで済まないと思うけど。
by kienlen | 2011-05-13 23:52 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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