佐野眞一『阿片王-満州の夜と霧』

ひどく時間がかかってやっとのことで読み終えた。登場人物が多くて途中で挫折しそうだったが、そう思ったあたりから人物が整理されてきて面白くなってきた。最後はやめられなくなり、一気に読み終えた。特に、溥儀を満州国建国のために連れ出して軟禁みたいにしていたあたりのところは臨場感たっぷり。そういえばタイで観た「ラストエンペラー」はかなりカットされていたんだった、なんてことを思い出した。それにしても満州と阿片の関係なんて全然知らなかった。里見機関なんて聞いたこともなく、知らないこと尽くし。あまりに知らないので理解力も足りないのだが、関係者を探しながらじょじょに点と点がつながって事実が浮かび上がる過程を著者と供にする構成になっているので、複雑な人間関係を全部理解できなくても、ハラハラしながら読み進めることはできるようになっている。

最後にはかなりの事実が明かになり、すっきり感は得られるし、それにそれぞれの人物像がリアルに想像できるし、人間関係の持ち方に対する著者の説明というのも違和感はなかった。男女の関係部分の説明の描写の仰々しさがなんかおかしかったけど、まあ実際のところ仰々しい振る舞いであったということでもある。文庫本の文字が小さくてちょっときつかったけど、文庫版のための補足部分は重要で面白い。戦後という時代の狭量さというか、それを里見に心酔した人物を通じて伝えているあたりは、なるほどなあって感じ。満州国についてもっと知っている人が読むと多分もっと面白いのだろうと思う。あまりに無知な自分。
by kienlen | 2011-02-26 23:47 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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