『世論調査と政治-数字はどこまで信用できるのか』

先週は何だか慌ただしかった。今週は月曜日から余裕。電話もない、新聞も休刊、テレビはもともとないに等しい。ついでに仕事の気力もない、のないない尽くし…。読みかけの本を終えた。これ、なかなか面白かった。調査関係は何冊か読んだことがあるが、実際に調査を担当している人の書いたのは初めてだということに気付いた。つまり外側から見て調査のウソや問題点を指摘するのがやけに目についていて、自分もそれにひきずられているところはあったのかもしれないが、基本的に社会調査の重要性は認識しているので、国勢調査の回収率が低くなっている等には憂慮を覚えている。ただあまりにくだらない調査にもうんざり。ということで、これは図書館で偶然に見つけた本で、著者は朝日新聞社の世論調査センターで企画や調査の実施分析に従事している吉田貴文さんという方。なんというか、一言で言うと、良心的な本。あとは数字を扱っていながら単純な数値以外は数式も一切ないという配慮で、究極の一般読者対象なのが分かる。読み物として面白く役に立つ。日本の社会調査の歴史、新聞社における調査の蓄積、政治との関係等々、ひじょうに易しく解説しているが、立脚点は低くないというか。そして読後感としては「新聞社の世論調査は大切なんだ!」という気分にさせてくれるというのもなかなか。

なるほどなあと思ったのは、選挙と調査の関係。世論調査というのは頻繁に行われる中で、選挙を特に重視しているのがなぜかという点に触れている箇所。それは調査の精度を実証できるから。確かにそうだ、結果が出るのだから、当たりか外れかは明白。他の調査では一体この結果と分析が的外れでないのかを実証できるわけではない。で、選挙で当たればその調査機関の調査方法と分析は信用できるということになる。言われてみれば当たり前だが、妙に新鮮だったのは自分の無知ゆえか。中心に論じているのが政治との関係で、小泉の時に何が特徴でそれが安倍でどうなって、また歴代首相やブレインが世論や世論調査にどういう姿勢だったか等々具体的に書いてあり、つまり調査のみを専門とする機関ではなくて新聞社の調査部門ならではの総合的なアプローチが興味深かった。多分一番言いたいことは一般庶民の調査リテラシーなんだろうと思う。これがないと操作されるという、そういう次元の問題ではなくて調査そのものへの信頼度の失墜で大変なことになってしまう。マスコミへの批判は大きいけど、データの蓄積という点で他が真似るわけにいかないんだから、こっちの方に重きを置く報道には期待したい。自分の場合、図書館で借りる本で実際に読めるのは2割くらい。10冊借りて2冊。その中の1冊に確実に入る。
by kienlen | 2011-02-14 12:53 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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