神田憲行『ベトナム・ストーリーズ』

ベトナム関連本の続き。これは面白かった、というか、私の好み。偉そうじゃない。愛がある。ユーモアがある。このみっつの要素は自分にとって大切なのである。図書館で借りた本の中では「個人的印象のエッセイはな-」みたいな感じで期待しないままに10冊の中に含めたのだが、そしてそのままの印象で読めないで途中で止めたのもあったのだが、これは楽しかった。日本語教師としてベトナムで暮らした経験のある著者が、短めのエッセイをいくつかまとめたもの。単なる体験を描いたものにしては巧み過ぎと思っていたら、ライターの方だった。どうりで。特にエピローグなんて泣かせる終わり方だった。おお、分かるような気がしますよ、がんばって下さい、みたいな。その気にさせるというか。巻き込んじゃうというか。

近藤鉱一のことがだいぶ出てきた。パリにその近藤鉱一の奥さんを訪ねるエッセイもある。本と違っていたらがっかりだとドキドキしながら向かい、本に登場する通りの奥さんと娘さんに対面するあたりの臨場感。全体に頭じゃなくて感性の部分にストレートに来る感じ。こういう感じって何なんだろうか。頭は頭でもちろんいいけど、どっちにしても頭なり感性なり、ここ、って部分まで届いてくれればいいのだ。その部分はまあ人によって異なるわけだが。とにかく面白く読めました。それにしても夜の読書に目が追いついていけなくなってきたことを感じるようになった。図書館の返却期限が来た。今日は休館日だ。明日にしよう。
by kienlen | 2011-01-11 09:26 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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