『ドキュメント高校中退-いま、貧困がうまれる場所』

昨夜遅くに帰宅途中、運転していた友人が「うわっ」と声を上げた。真っ暗な中、若者が2人道路脇に座り込んでいた。ちょっとよろけたら危ないという場面だった。ひとりは、息子と一緒に少年野球をやっていた子のように見えた。小さい頃は家に遊びに来ることもあったが、息子が早めに野球を止めたこともあり付き合いがなくなった。ただ近所なので茶髪になっているのや作業服姿なのやバイクを乗り回しているのは見える。とても高校に行っているようには見えなかった。やはり一緒に野球をしていた子のお父さんとばったり会った時に「どうしてます」と聞くと「高校中退した」ということだった。びっくりしたし異様に多いと感じた。息子の同学年で7-8人の野球仲間のうちの2人が高校中退。そして自分の場合は何といっても親が外国人の子達の中退は聞き慣れている。諸場面でそういう子達、あるいはもう確実にそうなるだろう子達と会う。「行き場がない」とつくずく思って暗澹たる気持ちになる。そんなこともあって、たまたま本屋で見つけたこの本を買って読んだ。

埼玉県、大阪の底辺校と、中退した生徒達が主な取材対象。そして教師と、ほんの一部の保護者。著者は元高校教師の青砥恭さん。主張は明快で、新自由主義の席捲で福祉、教育のお金が削減されたことによる親の貧困、通学区の拡大で高校間格差が決定的になり底辺校では授業どころじゃなく、生徒に目が行き届かない現状が問題だとしている。「ここまで来てる」とため息だったのは中退の再生産だった。著者は日本も階級社会になっていると言っているが、そういう意味で確かにフツウの国になったというか成り下がったとは言えると思う。著者が提案するのはまず高校無償化。これは政権交代で実現した。それと高校教育の義務化。私は今の教育課程のままでの高校義務化だと賛成できないと思っていたけど、実務教育なども含む多様性を取り入れての義務化だったので、だったらいいのかな。それと学びたい時に学べる柔軟な仕組み。これは大賛成。そもそも必要性を知った時に学べればいいはずなのだ。となると、これさえ実現できれば高校は義務化しなくても、いったん社会に出て必要な事を高校なり専門学校で学ぶという道がある。第二新卒なんて気味悪い言葉まで出るここまでお固い仕組みは結局排除を目的にしているようにしか見えない。私は損得で考えてみることが好きだが、一体それで誰が得するのかよく分からない。少子化対策はあれこれやっているようだけど、今いる貴重な子ども達をちゃんとした社会の一員にするのが先決じゃないかな。これ、誰にとっても他人事ではないはず。
by kienlen | 2010-10-16 10:13 | 読み物類 | Comments(0)

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