『アジア・コメ輸出大国と世界食料危機-タイ・ベトナム・インドの戦略』

アジア経済研究所の情勢分析レポートの中のひとつ。昨年タイに行った時に米の商社を見学させてもらった。商社って言うのかな。まあいいや。ご多分にもれず華僑の牛耳る業界。お坊ちゃま風の爽やかな若い社長とお話しした。業界の中では新規参入に属する会社。最高級の香り米だけ扱うということで、検査態勢がすごかった。検査室では持ち込まれた米の粒を本物の香り米かどうかチェックしている。「嘘言って持ち込む人もいますからね」である。偽装は前提の態勢である。タイでそういう前提なのは米業界に限らないと思うが。なんかの薬品につけると濃い紫になるのが香り米以外で、香り米は薄紫に染まる。化学を専攻している人だと薬品名なんかお手のものと思うが私の力では及ばない。たまたまその社長が友人の夫の友人で、遊びがてらに伺い、アバウトに聞いていた。立派なオフィスの立派な会議室というかプレゼンルームみたいな部屋のクッションの厚いソファに腰かけて威勢のいいタイ米の宣伝ビデオも見た。さすがはダントツ世界一の米輸出国タイの米商社である。
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ふと、品質管理を自社でやっているってことは政府の管理はどうなってんのかなと思って「農水省の役人は検査に来るんですか」と聞いてみた。すると答えは「しょっちゅう来てますよ」である。真の目的は?と聞く勇気なく黙っていた。最後に工場を見学して輸出用にパッキングされた米が出てくる所も見た。袋はアラビア文字だった。中東向けらしい。へえ、と思った。ということがあってこの本を読んで納得。中東市場への米は70年代まではアメリカの後塵を拝していたが、80年代に入って拮抗し、アフリカ市場ではアメリカに勝ったことが書いてある。「よし、タイがんばれ」と、こういう資料的な本に向かって檄を飛ばすのも何であるが、いずれにしろあの時みた光景と結びついたわけだった。アフリカ市場については「米を積んだ大型船をアフリカ沖に停泊させてアフリカの買い手が資金繰りのついたときにすぐコメを渡すという斬新な方法をとった」とある。もうここまで来ると「タイの米、がんばれ。輸出商アメリカに負けるな」の内心の叫びが絶叫になる。つまり新規参入企業によって中東やアフリカ市場が開拓されたのだそうだ。こういう知識があったらあの商社でもっと聞けたのにな。インドとベトナムの章はまだ読んでない。インドは人口が多いからまた事情が違うんだろうと想像する。
by kienlen | 2010-08-19 23:12 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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