クロッシング

「クロッシング」を見てきた。これはちょっと別格に素晴らしい映画だった。こんなに泣き続けなければならないのはそんなにないなあ。すごいですね、韓国映画。本読んだりして呑気に過ごして夕方から本屋に行ってブラブラして数冊カードで購入し、それから映画館へ。文化的生活っぽい日である。友人が勝手に粗筋を紹介してくれてしまった時は「そういうストーリー自体は越境者の話としては典型だなあ」という感想を持っていた。確かに物語そのものは典型的である。それが映画として別の要素が加わるとこうなってしまうわけだ。越境者の映画というのは気が付くと見ることにしているから、何本かは見ているし、本でもいくつかは読んでいる。凄惨な話もあった。ただこの映画を見て気付いたのだが、今までのって結構移民後の話が中心になるか、国境越えそのものがテーマになるか、というのが多かったように思う。この映画のように、舞台国が北朝鮮、韓国、中国、モンゴルと4つにまたがるのは初めて見たし、動機の方を長く描くというのも初めて見た。

北朝鮮で暮らす父母と男の子。父親は炭鉱労働者。スライドをプリントしたような色合いが風情あり。このままいけば貧しいが慎ましい幸福に満ちた家族なのだが母親が病気になる。とにかく病気というのは越境を決意させる一大要因である。で、この物語の場合は治療代がないのもあるが、それ以前に薬がないというのが北朝鮮の現状を正確に描写しているのだとするとやはり切ない。昔ミャンマーに行った時にガイドが「これが病院です。治療費は無料ですが、そもそも薬がありません」と説明していたのを思い出した。父は中国に出稼ぎを決意する。目的は薬を買うため。ところが意図せぬ方向に物語は展開していく。あまりに悲惨な北朝鮮の様子は見るのが辛い。それが最後まで続く。生物が生きるのに必要なのは、イデオロギーより国家より何より食べ物だ。がりがりにやせた子役をはじめ役者のうまいこと。素晴らしい。いろんな意味で必見映画と思った。ただごろごろしている息子に見させたいと思って一応誘ってみたが、やっぱり拒否された。残念だった。
by kienlen | 2010-08-14 22:47 | 映画類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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