難しい質問

バンコクの空港でトイレに入った。水が流れない上に手洗い用の水道も出ない。空港でなければびっくりしないが一応空港なんで一応びっくりした。隣の人がタイ語で「使えない!」と言って出て行った。と、その隣の人が「これ使えるから来て」という意味の日本語で私に声をかけてきた。「日本の方ですか?」と言うと曖昧ににこにこしている。その理由は後で分かるのだが、とりあえず日本人なんだなと理解した。礼を言って手を洗うと「ひとりですか。珍しいですね」と言われた。というアナタもひとりですね、と思いつつ「そうなんです」と答える。彼女は名古屋に住んでいると言う。「私も名古屋空港に行くんで一緒の便ですね」と言ってその場は別れた。早目に待合室に行くとまだ開いてない。薄暗い通路の脇のベンチに男性がひとりいる。とにかく広くて暗めの空港なのである。その一番端っこが日本の航空会社の定位置みたいだ。明るい場所に戻ろうかな、と思って歩いていると先の女性がベンチにいたのでほっとして隣に座った。彼女は今は日本国籍を取得したが、もともとはタイ人だそうだ。名古屋暮らし30年。子どもも大きくなったし仕事もしてないし、よく各国を旅行するそうだ。タイと日本は年に2-3回行き来するそうだ。日本の方ですか?という質問に一言で答えるのは難しいのかもしれない。タイ暮らしより日本暮らしの方が長く、お付き合いも日本人ばかりということになると。かといってタイの空港だとやはり自分の国の空港って感じなんだろうから、そこに日本人の若くもない女がひとりでいるのは、全体的に見ると珍しいのかもしれない。とはいえ、私の友人達はだいたいそうしているのでこちらから見ると珍しくも何ともないが、でも人数からすると珍しいか。

それはともかく、働いたことがない、と言う。もったいない。通訳とか翻訳とかタイ語講師とか、すればいいのに、と私だとすぐ思ってしまうのでそう言うと「必要もないのに働くことないでしょう」と言う。そうだなあ、この事はよく考えることだったのに、もう必要な状況が固定されると「必要ない」という状況が想像できなくなっている。
やっぱりいいなあ、働かなくていい状態って。つまり夫の稼ぎで生活できて、その夫は信頼できる人で、そうなると子どももキチンと育てられるからしっかり独立できる。いいなあ、と思い出すと本当に羨ましくなるがしょうがない。昔のバンコクはこんなじゃなかった、という話になった。こんなに混雑してなくて、こんなに危険じゃなくて、こんなに外国人だらけじゃなくて、のどかで緑が多かった、そうだ。ハイソな階級であることは、いろいろな話から感じられる。「バンコクのどこに住んでいたんですか」と聞かれたから場所を言うと「ああ、あそこはスラムがあって良くない場所ですね」と言われる。そういう場所だから安くて住めたわけだ、私達にしてみれば。「タイ人のだんなさんってどうですか」と聞かれる。これは翻訳すると「よくもまあ」という意味である。打つ、買う、遊ぶ、働かない、責任感ない、を凝縮したのがタイ人男性ということになっている。よって、タイ人女性はタイ人男性と結婚したくない、ということになっている。まあ、しかし、身分というか生活環境違いすぎだから、旅先での軽口というにはちょっとそぐわない話題をふられた感じだった。
by kienlen | 2010-07-28 20:50 | | Comments(0)

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