『「マラソン・駅伝」の素朴な大疑問』

またこんな本。金哲彦著。これ、面白かった。なんといっても「まえがき」で引き込まれる。テレビを見ている高齢の女性が時に感極まって涙し、時に声援まで送ってしまう。はい、何を見ているんでしょう、駅伝です、という出だし。私もマラソンとか駅伝を見ながら、なんでこんな単調な競技を見ていて飽きないのだろうかと、我ながら感動するくらいなのだが、その理由ははっきりしている。ドラマを想像するからだ。苦しいんだろうか、ハイになっているんだろうか、一体どういう練習を積み重ねてきたんだろう。それにしても一体なんでこんな苦しい競技を選んだんだろう。地味だし娯楽性もないし、ああそれなのに、なんか泣けるなあ。やはり日本人は苦労人が好きなのである、そこに自分の人生と重ねたりするのである。それにボールゲームなどと違ってルールや連携プレーの妙を知らなくても知識不足を嘆くことなく見られる。なんといっても走るだけ。

あまりに地味だからこそ、派手なプレーに目を奪われることなく自分なりの勝手な物語を紡ぐことができる。とにかくそういう想像力をかき立てる出だしから始まって、後は、知っておくと競技を見る時に、感涙しないときは「こううなんだってよ」とか、一緒に見ている人に言ったり自問自答したりするのに役立ついろいろを教えている。それから、現役選手だった時の自分の体験を控えめに入れたり、選手だからこその詳細な描写があったり、有名選手のエピソードを控えめに入れたりと、サービス精神あふれる作りになっている。アマゾンで偶然見つけたのだが、当たりだった。まあ、しかし、ここまで読んでから観戦する必要があるかというと、特にないと思うけど、今の自分には役だった。しかしスポーツのように勝ち負けの明らかな事をしている人が、ある意味羨ましい。ずっと評価の基準のはっきりしないことばかりやっていることが今ごろになって寂しくなっている。それで、何か試験を受けてみようかという気になってTOEICの本を買ったんだった。確か2-3年前もその気になってそのままになっていたが。
by kienlen | 2010-06-16 22:47 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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