「密約-外務省秘密漏洩事件」

思ったことは口に出してみるものだ。この間、夫の店にいる時、友人達が入ってきた。ひとりは近所の映画館のマネージャー。最近映画も見られない状態なので「見たいのたくさんあったけど行かれない。でも密約は必ず行きたい!」と言ったら「うん、来てね、そういえば、これ行きますか」と一通のレターを見せてくれた。試写会のお知らせだった。こういう時には何があっても暇になる自分であり「ありがたい」と即答。で、試写会で見る幸運に恵まれた。だから宣伝というわけではなく、そもそもここで書いても宣伝効果があるとは思えないが、これはひじょうに良かった。お金払って見る価値充分。今の時期にこの映画が公開されることになるという現象に、記録の重要性を改めて感じる。そのマネージャーのその日の連れでもあった友人に「行かないの?」と聞くと「見たくない」と言って、理由を説明した。彼は当時新聞記者としてこの事件を同時代で見ており、悪夢が蘇るようで見たくないというのだった。私だってもうちょっと社会に興味を持っていれば何か覚えていてもいいはずなのに、ひたすら内向きに過ごしていたせいか何も知らない。うんと後になって断片的に何かどうかで読んだに過ぎない。それもあって映画で見たいなと思っていたわけだ。その点全体像が見えるようになっていて、この事件の問題点が分かりやすく指摘されていて期待通りというか、それ以上に面白かった。澤地久枝の原作も読んでみたいけど、しばらく無理そうだな。

事件を立体的に浮き上がらせる構成も興味深かったし、主人公の西山記者を演じた北村和夫がすごいなあと思った。あとはもうつまらんシーンのないのがとっても良かった。必然性がないのにそういうシーンが入ると心底興ざめするし、ここで何もこれがなくてもいいじゃないかと感じることが多いけど、この映画はそれがなかった。もっとも1978年にテレビ番組として制作されたものということなのでそういうことか。それで西山記者のキャラクターだが、正義感だけが強調されるんじゃなく、かといってスクープ狙いの社内事情だけが強調されるんでもなく、いかにも普通の男の部分と職業意識と偶然性とのバランスがいいというか、すごく納得できるキャラクターだった。歴史を結果的に動かすことになるのだって結局こういうことなんだろうという意味で。もうひとりの主役は吉行和子。色っぽかったです。著者の澤地久枝自身役は大空真弓。著者の視点が入ることで変化がでて、問題点を主観的に指摘できるので見ている側は分かりやすいかなという感じな親切構成。私としては絶賛したい映画だった。現代社会の一般常識として見ておくべきという気がする。
Commented by jun at 2010-05-20 19:48 x
中山千夏さんはBSで昨年久しぶりに見ました。永六輔さんと一緒に出ていました。吉行和子さんはともかく永さんなどはテレビに出ないとご存命なのか分からなくなる有名人もいますね。現役の方では福岡伸一さんがNHKで「フェルメール考」という講義をしていて驚きました。また、3,4日前には西原理恵子さんが笑っていいともに丁度に出ていてこれまた驚きました。私は基本テレビを見ないのだけれどCATVやBSなどをBGMがわりに付けると面白いのがやっていたりする。
澤地久枝さんがインタビューした中村哲さんとの近著は週刊ブックレビューで佐高信さんが推奨していて高見恭子さんも絶賛していました。
以上今日のミニ読書会でした。内容はないけど。そうそう今また読書会が流行っているという特集もありました。見た方も多いかな。
Commented by kienlen at 2010-05-21 00:14
福岡伸一さんの本を読んでいた時に、絵画への造詣の深さを感じました。よってフェルメールは、なるほどという感じです。そういえば昔の男友達からのプレゼントがフェルメールの画集だったです。テレビははずせないんですが、ながら仕事ができないタチなんで効率悪い。今後とも教えて下さい、お願いします。
by kienlen | 2010-05-19 08:49 | 映画類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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