為末大『日本人の足を速くする』

この間、友人のお使いで本屋に行った時、久々にゆっくり店内を見ることができた。それでお使いの品とは別に新書を4冊だけ買った。そのうちのひとつがこちら。スポーツの分野は疎くて知らないけど、これは話題になった本なんだろうか。2007年刊ということはちょっと古いけど3か月で7刷りになっている売れ行き。読んでみると納得。すごく面白い。タイトルがいいし、帯の「速く走れば日本が変わる」というのもインパクトあるし、それに中身も筋が通ってしっかりしていて、しかも、ここがポイントだが、大いに笑える。ものすごい努力と研究心と熱意と負けん気と向上心と粘りの塊をユーモラスに味付けするとこうなる、みたいな見本に思えるが、アスリートという塊があるからできるもので、しかも陸上という、ひたすら記録という数字で明暗が分かりやすく分かれるものだからこその潔さが切れ味を良くしているんだろうな。

自分が走っている人の教科書とか参考書になるのかどうか、走らない私には分からない。でもこういう本を読むことで陸上競技を見る楽しみは増すように思う。それに、過度な一般化によって現場に集中できないという悪い癖とも言えるかもしれないと言い訳しつつも、やはり自分にとって面白い本というのは、どっかのハードルを超えてしまって次の境地に達しているもののように感じる。この本は徹底的に陸上の話で体験で実験で思い入れであるが、こちら側にとっては人生ってこうだよね、と思わせるものが十二分にあって、落ち込んでいる時には元気になる本じゃないだろうか。少なくとも自分にとってはそんな感じだった。偶然1冊だけ棚で見つけてなんかの参考にって程度で買ったものだが、予想外の掘り出しものだった。薄めの新潮新書なのでお楽しみ時間は短時間。コストパフォーマンスの点ではどうかと思うけど、内容がお見事なので他は問題にしません。面白かったです。
Commented by クリス at 2010-05-01 22:02 x
為末さんは現役時代から読書家、能弁、理論派でならした方でコーチなどにつかずにトレーニング法などもご自分で考えて管理なさっていた方なのでkienlenさん好みのアスリートかもしれません。
彼はマネージメントも事務所に所属して陸上の普及に努めているのでそこらへんマーケティング的にも良く練られた一冊なのかもしれませんね。
近所のマーケットのプレゼントが当たりました。「長野日帰りの旅」!フリーの頃ならせっかくだから行ったかもしれませんが、残念です。
Commented by kienlen at 2010-05-01 23:54
なるほど、そうなんですか。もっとちゃんと為末さんを見ておけば良かったです。確かにひじょうによく練られた本と感じました。さすがにクリスさんのおっしゃる通り。旅、できないの、そんな…残念すぎる。
by kienlen | 2010-05-01 08:30 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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