『リスクのモノサシ-安心・安全生活はありうるか』

東京へバスで往復した。こういうことはあと何年可能なんだろうか。もうちょっと先輩と話していて「この歳になると新幹線でも長時間になると疲れてね」と言われると、長距離バスの限界はいつなのか。ああ、またまた暗い。で、そのバスの中でも出てきたのが「ますます安心・安全な旅をお届け」みたいな文句。どこもかしこも「安心・安全」がセットになっているが、それは両立するのでしょうか、ということも扱っている本。いつ、どこで購入したのか記憶にないが、読んだのはしばらく前になる。NHKブックスだからそうそう安易でもないし、娯楽に傾いている今日この頃の自分に耐えられるか自信がなかったが、案外面白くて一気に読んでしまった。難しいということもなかった。分野とすると社会心理学。その中の「リスク心理学」だそうだが、へえ、そういうのがあるんだ、ということを知っただけでも新鮮だったし、それに私が知りたい点を直接解説、というか指摘してくれているのですっきりしたし、制度設計にもこの視点が絶対必要だろうと思った。

何が知りたかったかというと、ノーリスクなんてないのに、あたかもあるような前提で物事が進んでいくのは何でだろうということだ。あり得ないことを前提にされても信用できない。それよりも大事なのは、どの程度のリスクがあるかを提示して、判断をどうするかではないかと思っている。もっとも、私は面倒くさがりなので自分が情報を集めて分析するなんてことはしたくない。専門家に頼りたい。そのための専門家がいて欲しい。そう思っていたら、これがそういう内容なのだった。例えばタミフルの効用と副作用をどう考えるか。新型インフルエンザ対策に使う費用とリスクのバランスは。その他いろいろ、個人での判断のレベルから国家的判断まで参考になるように、いろいろなリスクを序列化する「リスク比較セット」を提案している。これを見ると、死亡のリスクはガンが圧倒的に高いこと、自殺がどの程度で交通事故がどの程度で飛行機事故はどうで、ということが一目瞭然。これは実用的だしすぐにでも導入して欲しいと思った部分。その他の章も、それぞれ納得できるものだった。意外なめっけものって感じの本だった。
Commented by クリス at 2010-04-02 20:40 x
後何年可能か、ということですがご参考までに私が3人目を出産したとき、相方の63歳の母親と70歳の父親が高速バスに乗ってお見舞いに来てくれたことがあるということをご紹介しておきます。目的地にどれだけ会いたい人がいるかという情熱と、行かねばならないが先立つものがないという必要に駆られればリスクも年齢も関係ないのではないですかね。
両親は散々末孫をかわいがると泊まりもしないでその夜元気に帰って行きました。感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
Commented by kienlen at 2010-04-03 09:03
クリスさん、そちらの新生活はどうですか。おっしゃる通りですね。多分私もそうしているような気がします。早く予約しないといっぱいな格安バスに、さすがに入学式日程は決まっているから予約が間に合ったよ。この値段だったらちょくちょく行けそうだし、友だちも結構いることだし、気軽に行こうかなという気になっているところです。
by kienlen | 2010-04-01 23:36 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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