『ロシア文学の食卓』

NHKブックスで沼野恭子著。NHKブックスは興味深いのがたくさんあるが、なんだか最後まで読み通せないのが多いように思う。専門的なせいだろうか。それで今のような経済状態だと買うのを警戒してしまう。かといって図書館だともっと確実に読めない。これは少し前に買って枕元用にしてあったもの。とっても面白かった。ロシア料理を食べたくなった。肝心のロシア文学が読みたくなったかというと、そっちはちょっと今からだと体力知力共に足りないような気がした。若い頃読んだのはほとんど何も覚えてないし。ロシア料理の思い出ならある。まだうんと小さい時、小学校低学年くらいだと思うが、叔母夫婦が名古屋でトヨタ自動車の下請けだか孫請けの工場を経営していて、ウチのようなド田舎の農村の者にしたらとっても羽振りが良かった。そこに毎年家族で遊びに行っていた。バスに乗って汽車に乗って都会に着く。お迎えはタクシーである。今ならどってことないけど、当時としてはもう私なんか別世界。右だ、左だと注文するいとこを感心して見ていた。で、そのウチに行くと食事が違う。田舎で自家製野菜とうどんとソバとリンゴくらいしか食べたことのない身にはびっくりのものばかり。中でもびっくりしたのがロシア料理の店に連れて行ってもらった時だった。

ひどくまずいと思った。内気で通知表に「消極的」と書かれていたくらいだから外に向かっては何も言わなかったと思うが、そういう子は多分心の中ではいろいろ独り言を言っているものなんだろう。最後に出たお菓子はもうとっても口に合わなくて食べられなかったんじゃないだろうか。ひとつだけまあまあと思ったのはボルシチで、パンだかパイみたいな皮が蓋になっているのをパリンとスプーンで割るのが面白かった。こういう体験は良くないかも、と思ったのは、それからロシア料理ときくと内容よりも「まずいと感じた」ということだけが先立って食指が動かないのである。単に珍しい味だったというだけだったんだろうし、今食べたらとっても美味かもしれないのに。よって、私は「タイ料理は嫌い」という人に会うと、自分にとってのロシア料理の体験を思い出して「最初だけで決めない方がいいよ」と言うことにしている。以上、何も本の感想にはなっていない。タイトル通り、ロシア文学に登場する料理とその背景などを豊かに描写しているもの。しかしロシアでは料理など俗物よりも精神性が尊重されるというあたりは、若い頃に読んだ本のおぼろげな記憶と、あの料理の記憶が重なるところだった。
by kienlen | 2009-12-26 10:50 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31