殺人の追憶

今朝も雪だが昨日も淡い雪景色だった。40分くらいの仕事先まで歩いて出たくなる徒歩日和。本をたくさん詰めているバッグの重たいのが難だが、減らすわけにもいかないので担いで出る。歩いていると寄り道が自由。また映画館の前で立ち止まってしまった。数年前に大ヒットしたという韓国映画の「殺人の追憶」が気になっているのだが、1日に1回だけの上映なので時間が合わない。多分ムリだろう、そしたら別のにしようと思っていたら仕事はすぐに片付いてしまい間に合ったので見ることにした。話題になっている「母なる証明」公開に先立って同じ監督作品を紹介するという映画館の企画らしく、家でDVDもテレビも見る習慣のない私などはひじょうにありがたい。しかも前日の映画で音声に不備があったからと1回分の招待券をいただいていて無料。韓国映画にはまる人が多いみたいだが、こういうのを見ると、なるほどお、と思う。スゴイ映画だった。「シルミド」を見た時にスゴイなあと思ったけど、ああいう感じ。こちらも実話に基いたフィクションということで、全体にヒタヒタと迫ってくる凄惨な殺人の予感と警察モノによくある内部対立みたいなのと個人個人のそれなりの正義感。そしてこの映画の多分重要テーマのひとつとして感じられたのが、軍政下で国民生活に直結する民間部門が疎かになることへの批判だった。80年代といえば日本はバブル経済へまっしぐらってところで、韓国は軍政下だったんだ。女学生の軍事事態訓練、たびたびの非難訓練の場面が当時を象徴している。

事件は農村地帯で起きた10人もの連続殺人ということで未解決らしい。警察の横暴ぶりと拷問。マスコミとの関係。つまりそれによって事件の解決はどんどん遠のく。見ている方もあせる。そんなことしてないで、なんとか早く捕まえないとダメでしょ。それにしては人不足、予算不足、で、ここで解決可能という時に機動隊の出動要請をすると、デモの鎮圧だったかのために全員とられていて誰も残っていない。そもそも警察署内の人が極端に少ない。電話もすぐ取れないくらい。そうこうしているうちに次々と女性が殺される。比較すれば冷静だった警察官だって気が変になってくる。予算配分でもめるのはどこの国も同じだと思うが、あっちに取られたらこっちにまわらないのもどこだって同じだろう。しかし国民が選挙という形式で選べると選べないでは大きく違う。どこまでが事実に基いているかは分からないけど、こいう事件があったということと、迷宮入りになった構造というものをこういう形で浮かび上がらせるってスゴイなあ。スゴイの連続で語彙不足だが、ホント、スゴかった。ラストがまたスゴイ。犯人が分からないんだからすっきりしないが、芸術的で心底怖い終わり方。これはアリでしょう。勝手に小品のようなイメージで行ったがとんでもなかった。
by kienlen | 2009-12-18 09:33 | 映画類 | Comments(0)

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