『韓国言語風景-揺らぐ文化・変わる社会』

しばらく前にイベント会場の寄付方式の古本コーナーで買ったものの1冊。1996年発行の岩波新書で著者は渡辺吉鎔先生という、名前の読み方の分らない言語学者で韓国生まれの方。前に、ジャーナリストによる韓国と日本の、言葉を含む文化を比較した本を読んだ時にもあまりの類似に感動したが、これはそういう感動を味わわせるのが目的のひとつと思われる本であるから、ますます感動する。言葉という表象になるまでの思想も似てますよ、ということで例が次々と登場する。いやあ、面白かった。比喩に色を多用する共通点。あっちの色がピンクなのも共通している。ことわざもそっくり。儒教の影響の大きさと、現代の、大きな変化もカバーしているので色あせてない。言語のルーツを探る難しさ。それから漢字をどのように取り入れたかという点も興味深いところ。

特に私が興味をもったのはハングル文字の生い立ちについて。音声学の原理に従って科学的に発明されている文字であることを初めて知った。友達で韓国語をやったことのある人は多いのに、教えてくれなかったな。あの記号みたいな文字が舌や口の形からきているということは。朝鮮語と韓国語がどういう言語政策の下にどのへんまで違っているかというあたりもとっても面白かった。タイ語と日本語もこういう風に面白く歴史にまでさかのぼって比べてくれているのがあるといいのになあと考えかけて、そもそも比較できる共通項がないのに無理であることに気付いた。これはもう日本語と韓国語だけの楽しみとしか言いようがない。韓国のDVDを見まくっている友達とランチをしたのでこの本を貸そうかと言ったら、ペラペラと見ていて「これは欲しいから注文する」と言っていた。韓国に興味があったらそういう価値のある本だろうし、私のように何も知らない者にとっても充分面白かった。
by kienlen | 2009-10-21 20:08 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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