『経済学的思考のセンス-お金がない人を助けるには』

直感で買った本が面白いと、面白さ自体もさることながら勘のあたったことが嬉しくなる。この本はそれだった。中公新書というのは当たり外れが大きいような気がしていて、この頃はあんまり手に取らなくなってしまったが、タイトルや醸し出す空気に心惹かれるものがあって、ちょっとパラパラしてじきに決めた。著者は大竹文雄先生。労働経済学専攻と書いてある。私はこの分野知らないから、ご著名な方なのかどうか等何も知らない。2005年初版で2009年に10版、ってことは売れている部類に入るのかな、よく分からないが。経済学に関しては、どうもあの需要と供給の曲線が思い浮かんで、合理的な人間が合理的に振舞うなんて、あり得ない前提が浮かんでしまう。でもこの本を読んで、そんな単純なもんではないということを想像することができた。身近なエピソードを取り上げて経済学的にはこう考える、という思考方法を提示するという結構ありがちな構成で、結構一歩間違うとつまんなくなる構成でもあると思うけど、初心者に易しく、でも誠実で、いい本で役立つ本でもあると思った。ここらあたりは常識として皆が知っているか知ってないかでは制度や社会をみていく時の姿勢に違いがでるのではないだろうか。

この本によると経済学的思考の本質とは「人々のインセンティブという観点からものごとを見直す点」にあるのだそうだ。私など、経済学というのは金銭的インセンティブに偏って考えるものかと思っていたが、この本を読むと、それだけではないということが分かる。でもやっぱり金銭的インセンティブは欠かせないでしょ、というのも分かるから、経済学的思考のセンスなしに世の中をみるわけにはいかない。数字もグラフもない経済学の入門書。大学の教科書にでも使われているのかな。所得格差説の多面的側面にもかなりを割いている。この程度は基礎知識なんだろう。大学の教科書なのかな。いや高校生くらいなのか。どうでもいいが、楽しく読めて実用的で報道を読み解く時の参考にもなりそうでお得感ありだった。こういう趣味の本を読んでいる場合でもないのだが…。今日はめいっぱい仕事をサボってしまった。明日は気合を入れたいところなのに、外仕事が入っている。ひとりだからひとつずつしかできない。自分にとって何がインセンティブになっているのか、金銭だけではないが、長い目で向かうところは金銭に収斂されるのか、いやその逆かもしれない。少なくともいちいち検討するのはセンスを磨くことになる…かな。
by kienlen | 2009-09-01 23:38 | 読み物類 | Comments(0)

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