『マニラ行きのジジババたち』

昨日読んだ。著者の浜なつ子さんの本は面白いのでファン。確かバンコクで会ったことがあると思う。昨日はほんのちょっとの外仕事があったついでに友人とお昼を食べて、久々だったこともあって長話になってしまった。年齢を重ねると身近に死も増えるし、思索も深まるしで重厚になるかと思うとたいていは逆で、人生なんてこんなもんであると分ってくるから、その域に達してない私はアドバイスされる側の役回りだったようだが、それに気付かずに、同意できない点はキチンと反論していたら「そういう時はハイハイって聞いていればいいの!!」と言われ、そういえば常々こういう言い方をされるよなあと思った。ってことは、やはり日本社会の中にちゃんとした位置を占めるのが難しいはみ出し者なのである…と感じる人には元気を与えてくれる本かもしれない。マニラ行きのジジババの単なる体験談にとどまっていない洞察力はさすがである。取材対象者ごとに文体を変えたり、味付けを変えたりなのも楽しい。

フィリピン人というのは、この間の本でも感じたけど、魅力を感じる人にとってはよほど魅力的な人々なんだろう。タイでここまでのハチャメチャさがあるかというと、ちょっと違うような気がする。貧富の差が大きいとはいえ、植民地だった国におけるまさに支配する側とされる側という関係性とは違うように感じる。タイは静的なイメージだし、フィリピンというのは動的な感じがする。そういえば私にはフィリピン人、あるいは配偶者がフィリピンという友人がいない。数の点では相当多いはずなのに縁がないようだ。夫の店にフィリピン人の常連さんがいるくらい。そして彼女たちが醸し出す雰囲気というのはタイ人とは相当に違うとは思う。で、この本は、なぜ日本の年金世代がフィリピンにはまるのかを描いている。その人の出自、日本における来し方を再構築するのがフィリピンであるということだ。これはよく分かる。私もあの時に行ったのがタイじゃなくてフィリピンだったらフィリピンに住んだかも、うーん、どうかな。ちょっと分からないけど、そんなことをいろいろと自分に引きつけて想像させてくれる本だった。息子へのイライラ解消のため、娘との口論の余波を鎮めるためにもちょうど良かった。楽しかった。
by kienlen | 2009-07-18 11:16 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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