宮台真司『日本の難点』

本を借りに来た友人が「ちょうど読み終えた」と言ってバッグから取り出したので「貸して貸して」で借りた本。このところ宮台先生の本、読んでないし。で、これをテーブルの上に置いておいたら、別の友人が「あ、読みたいと思っている本だ」と言うから、相当話題になっているのだろうか。その点はノーチェック。奥付を見ると今年の4月発行で1か月後には4刷りになっているから、かなりな売れ行きなんだろう。この本をそれだけの人が読むということは、日本人ってやっぱスゴイかも、という希望は沸いてくる。そのあたりは著者自身があとがきで書いている。「経済状況が悪化し、包摂性を欠いた社会の中で、特に若い人たちが困窮する今日、彼らの学問的関心の行方については二つの仮説があります」ということで、ひとつが学問から遠ざかる、もうひとつが、どうにもならないなら腰を据えて不動点を見出そうとする可能性、ということで、後者の立場から生れたのが本書のようである。こういう認識でスタートしていただけると読者としては大変ありがたい。せめてもの社会的コミットメントとして良心的な本及びモノを買うのであるという姿勢は一応持っているつもりだけど、こうして借りるのもアリということで、助かった。

タイトルにも難が使われているだけあって、易しい本じゃない。抽象度が高いわけではないが、学説の解説をもうちょっと丁寧にしていただけるとありがたいかなって感じはした。でも、宮台真司の一般向けの本は読みやすいから、しかも新書だし、なんて安易に心構えなしで読み始めたのが間違いで、覚悟していれば大丈夫かも。肝心の説明が最後の方にあるのってトリッキーだなあと思ったのだが、どの章から読んでもいいという断り書きがあるから、案外最後の「日本をどうするのか-日本論」から入った方が良かったかもという気がした。著者は同世代である。そのせいかどうか、言わんとするところは同感。日常言語しか私は使えないが、つまりは、権力のありかも分らず価値が相対化され個人がむき出しになる不安の真っ只中にいることは分る。かといって伝統回帰は非現実的であり安易な煽りでしかないと思う。そんなのに乗れないし、でも、この不安をどうする、まあ自分は人生半ば以上を越えたことだし歳とって感受性の鈍磨から不安感が軽減するのを虚しく待つかって気もなくはないが、問題は子供らの世代に無責任でいられないことであり、さてさて身の振る舞い等を如何に、という時の個人への指針が示されているわけではないが、ヒントはあると思う。
Commented by eaglei at 2009-10-01 23:24
やっと買いました。
遅っ~(笑)
ちょっと難しいです、解説して欲しい^^
Commented by kienlen at 2009-10-02 08:22
eagleiさん、おはようございます。宮台先生についてはそちらでも触れてらっしゃいましたね。社会学の理論の概説を読んでからかかるとか…。でもそこまでしている余裕がないからもっと解説的にしていただきたいという話ですよね、きっと。今、本が手元にないので確認できないのですが、多分対象が基礎をある程度知っている人を狙っていると、自分で書いた感想を読む限り感じがします。理論的には正しいかもしれないけど、そのテーマに関しては反対と思う時にどういう風に考えたらいいのかということを考えさせてくれるなあと感じたのは覚えてます。
by kienlen | 2009-06-12 11:28 | 読み物類 | Comments(2)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
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