佐藤優『インテリジェンス人生相談』個人編・社会編

あー、これはまた最高に楽しい本だった。SPA!に連載しているものだそうだが、この雑誌を読んでいないので単行本で2冊同時に買って個人編を先に、社会編を次に読んだ。相談事があって、それに佐藤優が答えるというのはよくある構成だが、悩みの内容や悩む人に合わせた本の紹介がついているというのが新鮮。両者のつなぎ方がアクロバットのようでもあるし、まあ、ある意味、この紹介本を読んでいる間に悩みは忘れそうだなとは思えるだけの難易度の低くない本が多くを占める。アドバイスには一貫性がある。ネガティブ思考に陥らないことを伝える。必ずなんとかなるという方向性で話す。インテリジェンスという仕事、外務省という高級官僚の世界で見た人間模様、勾留の経験も参考にあげる。必要に応じて微に入り細に入り具体的な解決手段を示す。面白く誰にとっても参考になる。資本主義は肯定した上でどこまで突っ走るかについては一定の歯止めをかけている。信仰の大切さ。著者自身が具体的なアクションを起しているし、行動を大切にする。いい人はいると信じることの大切さ。絶対にひねくれない。あくまで直球。笑いもブラックではなくてそこはかとないさわやかさ。いくつかの選択肢を示して、自分の選択とリスクを覚悟させる。人間があいまいな存在であることを前提にする。その他いろいろ。

頻繁に登場する具体的なアドバイスは本を読むことと、状況や考えをまとめるためのメモを取ること。目先のことに捉われるよりも教養が身を助けるというもっともな考えは、ともすると文化人の戯言みたいになる恐れもあるが、そうならないで、そうだ本当にそうだ、と思わせる信念と迫力がある。私自身、本を読むことと書いてまとめることがいかに、とにかく生き抜くための大切な方法であるかを感じてきたし今もそうなのでふたつの方法は全面的に共感である。若い時に友人にあてて手紙ばかり書いていたのも、当時自分にとっては大きな救いだった。で、手紙を書く相手がひとりでもいることがなんて幸せなことかも感じてきた。今振り返ってもそうしてなんとか今日まできたような感は拭えない。回答者の人間性がここまで露わになる人生相談というのも珍しいんじゃないだろか。とはいえ、「佐藤優の」の冠があるがゆえの相談者なので本気で対峙しないとならないのは当然で、だから面白いんだけど。私にとってすごく残念なのは自分の子どもが本を読まないことである。苦しい時の踏ん張りを何に求めるんだろうか。なんだか自分には想像できない。息子が本を読む人だったら、20歳のお祝いにプレゼントしたい本だな。読まなくても押し付けることにして、その時まで取っておこう。
Commented by jun at 2009-05-31 09:44 x
苦しい時の本ってありますね。
ところで、spaの連載はある意味、人口に膾炙(甘辛混合)するものでしょうか。
また、「がっかい」の友人に毎月只でもらう「潮」6月号には田原総一朗と佐藤優対談が載っていました。ついでに言うと、梅原猛も姜尚中も茂木健一郎も二宮清純も鷲田清一(阪大総長)も執筆しており、豪華な顔ぶれですが、女性を言う会の割に殆ど男の筆。只で貰っているからいいか。
31日の「職住・・」を住職と一瞬読み違えましたが、住職も職住ですね。私もですが。でも逆に自分のモチベーションを上げるために、逆通勤のように定期的に出かけます。だから良いカフェを探訪する毎日です。良いところがあれば教えて下さい。きょうは、スープのファストフード店に行く予定ですが、雨だし混んでいるかな。
じゃ。
Commented by kienlen at 2009-05-31 20:45
逆通勤は分ります、私も同じですからね。しかしjunさんの職種よりは外に出る時間が多いから分るなんていえないか。雑誌のそのあたりのメンバーはあちこちで見かける面々ですね。いいカフェは私も知りたいです。
Commented by eaglei at 2009-06-08 05:54
僕も子ども達に読ませようと思っています。
二十歳にならなくても、世の中を知る意味で早くに読ませてもいいかもです。

それにしても佐藤優さんて、面白い人ですよね。

感想を書いていただき、嬉しいです。
kienlenさんの鋭い感性を、さらに知ることができました。
ありがとうございます。
Commented by kienlen at 2009-06-08 08:08
eagleiさん、おはようございます。睡眠時間4時間ということですが、さすがにこのような早い時刻にわざわざコメントをありがとうございます。ちなみに私の睡眠は状況に応じて長短不規則です。子供が本を読める人だったら二十歳を待ちませんけど、究極の非活字人間で、どうしようもないのです。親としてはまことに残念無念です。
by kienlen | 2009-05-30 17:47 | 読み物類 | Comments(4)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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