『民主党-野望と野合のメカニズム』

伊藤惇夫著。自民党本部勤務20年→新進党→太陽党→民政党→民主党事務局長→政治アナリストという経歴の持ち主が書いた本。面白くないわけがないって経歴だ。民主党の議員をしている友人から借りたもので付箋がたくさんついていたから、折らないように注意しながら、実際大変面白く読んだ。私が日本にいなかった期間に日本の政党は再編成されていて、帰って来た1996年には何が何だか分らなくなっていた。タイから日本を見ている時は、新しい政党ができたり消えたりくっついたりする様子はタイみたいだな、と思っていたものだった。この本を読んで何が起きていたかを少しばかり知ることができた。出だしは「なぜ民主党だけが生き残ったのか」という問いから。1992年、すなわち私はバンコクにいた時にスタートした新党の時代に誕生した政党の中で、なぜ民主党だけが生き残って政権交代が現実味をもって語られるまでになったのか、という問いである。

まずここ10年間の民主党が旧・新・現の3期に分けられるとして、それぞれの有様を説明しながら民主党の歴史を振り返る。それは同時に他政党にも触れることになるから、現代政治状況を政党編成の観点から概観できる。それから「なぜ代表がすぐクビになるのか」という章が独立してある。知りたいツボである。そして選挙のこと、主要人物やグループについての解説、資金や地方組織の解説があって、最後に理念と政策の検証という構成。「有権者必携の一冊」という宣伝文句があるが、確かに、新書で簡単に読めて政党のしくみ、各党の性格なんかが、初心者にも早わかりできるという点で親切な本だと思う。いかに相手を出し抜くかとかという人間関係トレーニングの教科書にもいいかもしれない。権力を手にしたい人にとっては必読であり、相手を知るという意味では権力には無縁の人にとっても必読かもしれない。こういうのを読むと政治家が使うエネルギーの一体何割が国民に向かっているのかの疑問がますます膨らんで温暖化に貢献してしまいそうだ。
Commented by 雹子 at 2009-05-25 10:53 x
すぐさま、読破でこの感想とは、さすがです!
よくまとまっていて、私にとっては必携なんですが、さらなる疑問として、筆者がなぜ、事務局長を辞めて党を離れたんでしょう?が知りたい!!
本日の新聞下段広告の週刊誌にも書いているみたいです。また読み進めたい評論家です
Commented by kienlen at 2009-05-25 16:35
雹子さん、このたびはありがとうございました。そのへんの事情はそのうちに自伝でも書いてくれるんじゃないでしょうか。でも事務局長って裏方のお仕事ですよね。アナリストとか大学の先生の方がやりがいがあったんじゃないかな。単なる想像ですが。
Commented by eaglei at 2009-05-27 22:40
精力的に読書されていますね~!
感心します。
この記事に刺激されて、
仕事の帰り道にこの本を買ってしまいました。
「相手を知るという意味では権力には無縁の人にとっても必読かもしれない。」
このフレーズ、効きました(笑)


Commented by kienlen at 2009-05-27 23:14
テレビを見る忍耐力がないので本を読む方が楽です。怠惰だなと感じつつ。好きな時間に好きな格好で好きな場所でできるのがいいですね。eagleiさんのお勧め本も読みましたよ。また感想書きます。
by kienlen | 2009-05-24 22:59 | 読み物類 | Comments(4)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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