『半農半xという生き方』

珍しく図書館で借りた本。こういう体験エッセイみたいなのはあまり読まないので知らないが、これは結構知られている本なのだろうか。田舎暮らしするために勤務先をやめるタイミングをうかがっている在東京の友達に見せたら知っていたみたいだった。考え方は大賛成。私もこれがしたい。だから借りた。つまり、自給的な無理のない農作物作りと、自分に向いた職業生活を半々ずつしましょうよ、という提案。京都の綾部市在住の著者が自分の体験と取材とを交えて気軽に綴っている本。提案自体は全面的に賛成なのだが、こういう本を読んでいるとズルズルと落ち込んでくるのがいけない。何しろ、何から何までいいことずくめなのである。そりゃあ人々を励ますには、いい面を強調するのはアリかもしれないが、ここまでやられると、ここまでいいことずくめ人生を思い浮かべることのできない自分が哀れでひねくれ者のように感じてしまう。ああ、なんで自分はこんなに暗いんだ、それはひねくれているからか、へんな被害者意識に支配されていやしないか、ダメな自分…という具合に。

登場人物は夫婦円満、友達関係円満、お互い分かり合える価値観の持ち主で、それぞれに天職を発見できて生産と消費のバランスの取れたミニマムながら上質な暮らしを営んでいる。いいなあ、ホントに羨ましい。アタシもこういう配偶者がいてこういう子供がいて、こういう隣人に恵まれていたら幸せだったかもしれない。そしたらこんなにヒガミっぽくなってなかっただろう。こういう明るい素直な本を書いていたかもしれない。どうしてこういう配偶者でこういう子供でこういう隣人達なのだ、まあ、そもそも一番はどうしてこういう自分なのだ、と怒りたくなる。で、こういう境遇にいると、もうちょっと別の側面も描いて欲しいな、欲を言えば、と思う。わざとらしい失敗例だとか夫婦喧嘩を入れて欲しいというわけじゃないが、何かもうひとつ。図書館だから借りたけど、そして一応読んだけど、そして考え方は共感だけど、凝縮すれば数ページに収まるようにも感じた本だった。もっとも企業でバリバリ働いてストレスためて消費に走るみたいな経験をしてない私が生意気に読むような本ではないのだ。こういう後ろ向きな感想を持つ人に対しては「思い切って実行したら道は開けますよ」とアドバイスされるのがオチかも。
by kienlen | 2009-05-24 21:11 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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