リービ英雄『越境の声』

ちょっと前に読んだ本。定期購読している雑誌で、名前だけしか知らないこの著者の9.11に関するエッセイがあって、それが興味深いものだったので、書店で見つけた時にこの本を買ってしまった。岩波書店。2000円+税金は完全に趣味の本としては高いと感じたけど、越境という響きにはどうしても惹かれてしまう。文学者の本なんて何年ぶりか何十年ぶりか。著者の紹介には経歴や受賞歴の最後に「世界に類を見ない、西洋世界から非西洋世界・言語へと越境したワールド・フィクションの書き手である。」とある。万葉集を英語に翻訳した人だそうであり、日本文学をアメリカの大学で講じていたそうだ。今は中国と日本を行き来しながら日本語で創作しているそうだ。人類も進化したものである、と思いたくなるが、越境する文学者は古くからいるわけである、ということも語られる。ドイツ語と日本語で小説を書く多和田葉子、大江健三郎などとの対談が半分以上で、あとはエッセイなど。

越境だから移動が重要なテーマになっているが、著者自身が頻繁に移動しながら、先人の移動をたどり、それがまた過去から現在に続く移動にもなっているような、こういう縦横無人さというのは、文学の力ということなんだろうか。就寝前の読書として何日かかかって読み終えたのは、家で飲むお酒が減ったからだった。酔っ払って読めるほど容易ではないが、かといって昼間よりは夜の雰囲気の本だった。お酒を飲まない最初の効用がこれだった。面白かったから小説も読んでみようかと思っている。しかし読みたいのがいっぱいあって今もアマゾンで3冊注文してしまったからちょっと先になるかな。
by kienlen | 2009-05-24 14:13 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


by kienlen
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30