ジョンソン桜井もよ『ミリタリー・ワイフの生活』

ちょっと前に読んだ。余裕があるわけでもないのについでに買ってしまった。20年間アメリカで暮らす人が「アメリカという国は、世界のどこにも類のない、大変ユニークな国だ-」というのだから、日常生活から見たユニークさを知りたいなと思ったのだった。たまたま書店で手に取って開いた箇所が、息子の友人が銃で人を殺してしまった、というくだりで、身近なエピソードから深部に入り込んでいく手法というのは分かりやすいし、著者の考えも反映されやすくて面白いのでちょっと期待したのだが、全体には話の展開の苦しさを感じた。「日常から日米比較を描き出す」とのコピーがあるが、これはとっても難しいことで、ヘタするとステレオタイプの比較になってしまって、だから何なのよ、みたいな不快感を抱くことの方が多いから、そんなもっていき方やめちゃって、単純にアメリカ暮らしの日常を綴るのにすればいいのになあ、大変だなあ、というのが感想だった。

なんとか不快でなかったのは、著者の素直さが直に感じられたからだと思う。それにしてもここまで素直そうな人のものを読むと、落ち込むのが常である。自分を恨んだり、こういう性格に育てた親を憎んだり、そしてこういう親に育てられる子供を憐れんだりの、負の環状線に乗ったような気分になってフラフラしてくる。ああ…。あるいは、これでいくらかでも毒気があったり斜に構えたところがあると、不快感を抱かせると警戒して素直さを装っているんだろうか。そうだとしたら巧妙な手である…やられた、なんて考えるところがもうなってない。ますます自分がみじめになる。負の環状線から脱出しなければならない、と思いながら読み終えた。タイトルからして、特に軍人の妻の役割が強調されているのかと思ったらそうでもなかったのが物足りなかった。アメリカの中流の良き妻とはどういうものか、が垣間見れた感じはしたけど、階層的地理的州的等々、そのあたりの立ち位置みたいなのをもうちょっと説明していただけたらもっと想像しやすかったんだけど。
by kienlen | 2009-03-12 09:57 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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