若林亜紀著『サラダボウル化した日本』

amazonで見つけた本。光文社にこういうシリーズがあるんだということをこの本で初めて知った。題して「多文化主義光文社ペーパーバックス」。光文社の本ってあんまり読む機会がないが、しばらく前に出版社の成り立ちについて読んでいて、諸事情から親近感を持った出版社だった。それもあってamazonが勝手に推薦してくれるサービスに乗っかってしまった。そして楽しく読んだ。表紙には「外国人依存社会の現場を歩く」「日本はもはや外国人がいなければ成り立たない!」とあるが、この本を読むと、本当だあ、と思う。食品産業での依存ぶりを見たら食糧自給率がさらに下がる、という論にも納得の現場ぶりである。その他製造業しかり。テレビも車も外国人労働者なしでは作れない。そういうことを、足で歩いて話を聞いて軽く楽しく、でも問題意識を持って書いている。この著者は厚生労働省の外郭団体の、日本労働研究機構にお勤めだった方だそうで、役人の生態にも詳しいようだ。研修生制度に関する以下のくだりなどは、読んでいてすっきりした。

「日本の外国人労働者の受け入れ政策は世界的に見て独特のものだ。最大の特徴は国の外郭団体(天下り法人)が外国人労働者から搾取していることである」。外国人政策こそ、国のコントロールをきかせることのできる分野の最たるものだろうから、各省庁群がっても不思議じゃないように思えてくる。ツケは国民に回せばいいというのはどの分野にも共通していると思うが。この本を読むと、街でフツウに出会う外国人がだいたいどんな人かメドがつくようになる。タイ人がちょっとしか登場しないのが残念である。タイ人はアクセスがなかなか難しいのと、ひっそりしていて比較的目立たないせいだろうか。話題性に乏しいのか。最後の章のタイトルは「いつまでもあると思うな外国人労働者」。まったくです。日本なんて経済がダメになったら何に魅力があるのかなあ。日本文化にあこがれて来るような外国人が単純労働をするかどうかはかなり心もとないし。昨日のシンポジウムで外務省のお役人が最後の挨拶をした時に、そういう危機感を発していなかったことに、つまり日本が外国人にとってとてつもなく魅力的な国であるかのような物言いに、びっくりしてしまったのだが、この本を読んでびっくりに確信を抱いた。
by kienlen | 2009-03-01 19:19 | 読み物類 | Comments(0)

信州で読んだり書いたり、時には旅したり


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